【観葉植物の植え替え】わかりやすく紹介「適期・手順・ポイント」

「植え替え」。それは、鉢植えの植物にとって、水やりのような頻度の高い日常的なお世話ではありません。一方で植え替えは、植物の健全な生育のため、定期的に行うことが求められる大切な作業でもあります。

必要な作業だとわかっていても、「植え替え」と聞くと、枯らしてしまうのではないか、難しそう、面倒くさそう、などと思う人も少なくないのではないでしょうか。確かに、植え替えは、水やりや剪定と比較すれば、多少の時間を要する作業です。また、植え替え作業が株に与える負担によって、枯らしてしまう可能性もゼロではありません。

しかし、一度手順を覚えてしまえば、植え替え作業はそれほど難しいものではないことも事実です。植物によっては、特別な工程を踏む必要がある場合もありますが、それでも、多くの植物の植え替え方法は、概して共通しています。

適切な時期に、丁寧に作業を行えば、植え替えは、それほど難しいものではなく、大切な植物を枯らしてしまう確率もぐっと下げることができます。植え替えの大まかな流れを掴むことで、様々な植物の植え替えにも応用がきく、知識や感覚、慣れを得ることもでき、そうすれば、植え替えに対する抵抗や怖さも、きっと軽減するでしょう。

植え替えの必要性

植木鉢という限られた空間で生きる植物にとって、植え替えはなくてはならない作業です。株の生長は、枝や葉といった目に見える地上部だけではなく、地中でも、根が活発に生育しています。したがって、定期的に植え替えを行い、鉢を大きくすることで、根が生長する空間を広げる必要があるのです。

また、用土に含まれる養分も、時の経過とともに、次第に減少していきます。それでは、植物が健康に育つことができません。そのため、古くなった用土を、新鮮で豊かな用土に換えることが求められるのです。

加えて、植え替えを行わないまま育て続けると、段々、水やりを行ったときの水の抜けが悪くなってきます。これは、土が潰れたり、固くなったりして、水はけが悪くなるためです。そうすると、水やりをしても、根が効率良く吸水できず、また、十分に酸素を取り入れることも難しくなります。

こうした事態を避けるためにも、新しい用土に植え替えることは大切です。植え替えを行い、株とともに、植物が育つ環境をリフレッシュさせ、整えることが、植え替えの目的です。住み心地の良い場所で、植物が暮らせるよう、定期的に植え替えを行うと良いでしょう。

【植え替えが大切な理由】
○植物が生長する空間を広げる。

○土をリフレッシュする。
○植物の健全な生育を促す。

植え替えの目安

植え替えが必要かどうかは、いくつかの目安から判断することができます。また、その目安によって、植え替え適期まで作業を待って良いのか、それともできるだけ早く植え替えを行うべきなのか、判断することが可能です。

1~2年に一回

植え替えの頻度は、植物によって多少の違いはありますが、一般的に、1~2年に一度行うのが望ましいでしょう。植物の生長は思いのほか早く、あっという間に鉢のなかで根が回ってしまいます。そのため、植物に窮屈な思いをさせず、健やかな生育を促せるよう、積極的に植え替えると良いでしょう。

根が窮屈になったら

鉢底穴から根が飛び出してきたら、それは植物が植え替えを求めるサインです。鉢のなかで根がいっぱいに生長し、もう行き場がなくなったために鉢底から出てきていると考えられます。したがって、根が健全に生長し、必要な要素を正常に吸収できるよう、植え替えを行い、空間を与えてやります。

鉢底穴から根が出てくるのと同様に、表土に根が浮いてくることもあります。その場合も、鉢のなかが根でいっぱいになっている可能性があるため、植え替えを検討しましょう。植え替えを行わないと、いずれ根詰まりを起こしかねません。根が詰まる前に、植え替えをすることが大切です。

水が浸み込まないとき

水やりの際、土に水がなかなか浸み込んでいかないときも、植え替えをすべき状態にあると言えます。根がいっぱいになり、水が抜けにくくなっていることや、鉢土が古くなり、水はけが著しく低下していると考えられます。そのままでは、株に負担がかかるため、植え替えを検討すると良いでしょう。

一方、植物を植える際の土の入れ方によっても、水の浸み込み方は変わります。例えば、土をたくさん詰め込めば、その分水の抜けは悪くなります。そのため、根の状況とは関係なく、水の浸み込みが悪いことも考えられるのです。

したがって、単に水の浸み込みが悪いかどうかだけではなく、水の浸み込み方の変化を観察することが大切です。水の浸み込みが良かった鉢が悪くなったのか、最初から浸み込むのに時間がかかる鉢だったのか、見極めることが求められます。

加えて、最初から水の浸み込みに時間がかかる鉢は、次回の植え替えで、用土の構成や量を適切に調整すると良いでしょう。

また、反対に、与えた水がすぐに鉢底穴から流れ出てくる場合も、根が回り、水が土に吸収されていない可能性があります。そうしたときも、植え替えを検討すると良いでしょう。ただ、排水性の高い土の場合は、水の抜けが早いため、特段、問題が生じているわけではないこともあります。

そのため、繰り返しになりますが、水の抜け方の変化を日々、観察することが大切です。それまでと水の浸み込み方や抜け方に変化が生じたら、株の状態を点検して、株が弱っているようなら植え替えを検討しましょう。

鉢土が乾かないとき

季節によって多少変化しますが、室内で管理している鉢の場合、一般的に、水やりをした後、だいたい1~10日もすれば鉢土は乾いてきます。したがって、1週間以上たっても、一向に乾く気配が見られない鉢は、何か問題が生じている可能性があります。

鉢の置き場を変えるなどしても、鉢土が乾かない場合は、根に問題が生じているかもしれません。鉢土が長時間湿ったままだと、根が窒息し、根腐れを起こし、延いては枯れることもあり得るでしょう。そのため、鉢土がそれまでとは違い、長時間乾かない場合は、できるだけ早く植え替えを行い、根の具合を確かめることが求められます。

植物が弱っているとき

管理に問題がないのに、目に見えて植物が弱っているとき、元気がないとき、新芽が動かないときなどは、植え替えを検討しましょう。根に何らかの問題が生じているため、株が生育できない状況に陥っているのかもしれません。そのままでは枯れてしまう可能性が高いため、早急に植え替えをし、根の様子を確認しましょう。

また、下葉が黄化し、たくさん落ちる場合や、出たばかりの新芽が枯れるようなときにも、根の不具合が予想されます。葉の黄化は、健康な株にも起こり得る、健全な新陳代謝の場合もあるため、それまでの黄化と同じなのか、それとも、今までの黄化とは違う雰囲気があるのか、違いに気づける、日々の観察が大切です。

【植え替え適期を待って植え替える目安】

○1~2年ほど、植え替えをしていない場合。

○鉢底穴から根が出ているものの、植物が元気な場合。
○土の水の浸み込みが少々悪いものの、植物が元気な場合。

【できるだけ早く植え替えるべき目安】

○植物の元気がなく、そのままでは枯れそうな場合。

○土の水の浸み込みが著しく悪い場合。
○鉢土がいつまでも湿っている場合。

植え替えの適期

植え替えは、植物を元気に育てるために大切ですが、同時に、株に負担をかけることも事実です。その負担を最小限にとどめ、植え替えの利益が、植え替えの負担を大きく上回るようにすることが求められます。そのために大切なことが、植え替え時期の適切な見極めです。

植え替え適期は「春」

一般的に、植え替えを行うのに適した季節は、春だとされています。単に「春」とだけ言うと、期間に幅があり、少々漠然としますが、大切なことは、植え替えをする株にできるだけ負担をかけないよう、暖かい時期を選ぶということです。

したがって、初春など、まだ寒さの残る頃は、たとえ暦の上では春でも、植え替えの適期とは言えません。冬の名残が去り、十分に気温が上がった頃が、植え替え時期として最適です。また、その日の最高気温だけを見て、十分に暖かいと判断するのではなく、明け方などの最低気温も十分な温度であることを確認することも重要です。

春と言えど、朝晩は冷え込む日も少なくありません。最低気温が15℃前後になるのを待ってから植え替えを行うと安心でしょう。少なくとも、最低気温が二桁(10℃以上)になるのは待つ必要があります。4月であれば十分に植え替えの適期に思われるかもしれませんが、気温によっては、5月まで待つべき年もしばしばです。

植え替え時期は、暖かい春が適期ですが、一方で、暖かい季節であればいつでも植え替えて良いというわけではありません。例えば、夏場は、気温が非常に高くなるため、植物の消耗も早まります。そうした時期に植え替えを行うと、株の消耗が激しく、負担が大きくなるため、夏場の植え替えは避けるべきだと言えます。

加えて、春は、植物の新芽や根が活発に動き出す時期でもあるため、そのときに合わせて植え替えを行うことで、より健やかな生育を促すことにもつながるでしょう。

適切な時期に植え替えを行っても、多少の負担を株に与えることには違いがありません。したがって、そうした負担をできるだけ早く回復させるためにも、株の営みが活発な春に植え替えをすることが求められます。

「秋」の植え替えも可能

春から夏にかけて、株が大きく生長した場合、「秋」の植え替えも可能です。植物によっては、むしろ秋の植え替えの方が適しているものもあるため、植物に応じて、適期を見定めることも大切です。秋は気候が比較的穏やかであるため、植え替えが可能な季節だと言えます。

秋に植え替えを行うことで、翌年も元気に生長するよう、株の状態を整えることができます。一方で、秋が深まると、いよいよ冬が訪れるため、それまでに作業を済ませておくことが大切です。冬の厳しい寒さは、植物にとって優しいものではありません。したがって、気温が下がりすぎる前に植え替えを終えましょう。

大切なことは、本格的な寒さが到来する前に、植え替え後の根を活着させることです。余裕をもって作業を行い、冬に備える時間を植物に与えることも必要です。

○植え替えの適期は「春」が一般的。
○「秋」の植え替えが可能な植物も。
○最低気温が15℃前後(最低でも二桁)を目安に植え替える。
○寒いとき、暑いときを避ける。
○植え替えの負担を最小限にとどめるため「適期」の作業は重要。

作業に必要な物

植え替えの際、必ず用意する物、あると便利な物を紹介します。

必需品

新しい鉢

それまでの鉢よりも1~2回りほど大きな鉢を用意します。根の生長を促し、同時に鉢内で根が十分に張り、また、鉢土が過湿気味にならないよう、小さすぎも大きすぎもしない、適切なサイズを選びます。

鉢の大きさは、号数によってサイズが決められているものを選ぶと、大きさがわかりやすいでしょう。サイズは以下の通りです。

・1号:直径3cm
・2号:直径6cm
・3号:直径9cm
・4号:直径12cm
・5号:直径15cm
・6号:直径18cm
・7号:直径21cm
・8号:直径24cm
・9号:直径27cm
・10号:直径30cm
・11号:直径33cm
・12号:直径36cm

すでにお気づきかもしれませんが、サイズが一つ大きくなる毎に、直径は3cmずつ大きくなります。したがって、1~2回りほど大きな鉢というのは、それまでの鉢よりも、直径が3~6cmほど大きな鉢と考えれば問題ありません。また、鉢の直径だけでなく、植物の根の張り方に応じて、鉢の深さも選択する必要があります。

根を深く伸ばす植物には深鉢を、浅く広く張る植物には、通常の深さか、やや浅めの浅鉢を選択すると良いでしょう。深さが足りないと、根が伸びる空間が足りず、反対に深すぎると、鉢土がいつまでも乾かず、根腐れの原因になってしまいます。

用土

清潔な、新しい用土を用意しましょう。用土は、市販の観葉植物用土を利用すると便利です。すでに適切なバランスに配合されているため、自分でブレンドする手間が省け、また、特定の種類の土だけ余ってしまうということもありません。観葉植物用土によっては、元肥が配合されているものもあり、施肥の必要がないものもあります。

室内で育てるとき、コバエが気になるようなら、肥料が配合されていない用土を選ぶのも一つです。一方、肥料入りのものでも、表土をバークチップやマルチングストーンなどで覆うことで、コバエの発生を防げる場合もあります。ただ、表土を覆うと、土が乾きにくくなったり、土の状態が観察しづらくなったりするので、注意が必要です。

鉢底石

鉢には、初めから用土を入れるのではなく、まずは鉢底石を入れます。鉢底石は主に軽石などで作られていて、鉢底に敷くことで水はけを良くすることができます。根腐れを防止し、植物を元気に育てるためにも、鉢底石は積極的に活用しましょう。

鉢底網

鉢底には、穴が開いています。穴の形状は様々ですが、鉢底石や用土が漏れ出ないようにする役割を担うのが鉢底網です。また、鉢底網を敷いておけば、鉢底穴から害虫が侵入するのも防ぐことができます。

細い棒

割り箸や、短めの園芸用支柱などがあると、用土を隙間なく鉢に詰めることができます。用土を入れた後、棒で用土をつつき、隙間を埋めることで、植物にとって優しい植え替えができます。

あると便利な物

移植ごて(ハンディータイプのスコップ)

用土を鉢に入れる際、移植ごてがあると便利です。なくても、袋から直接用土を入れたり、手を使ったりすれば植え替えは可能ですが、細かく丁寧な作業ができるため、準備するのがおすすめです。ほとんど必需品と言っても過言ではありません。

ハサミ(園芸用)

古い鉢から株を引き抜いた際、新しい鉢に植え替える前に、生長の妨げになる根を取り除き、整理するのも大切な作業です。そうすることで、根腐れをはじめとする根の不調を予防し、また、新しい根の活発な発生を促すことができます。

加えて、植え替えと同時に、植物の剪定を行うこともしばしばあります。その際も、清潔な園芸用ハサミは役立ちます。剪定の際、枝や茎が潰れないよう、切れ味の良いものを用意するとなお良いでしょう。

一度揃えてしまえば長く使い続けられるため、園芸用のハサミを用意しておくのもおすすめです。あまり大きすぎないもののなかから、デザインや握りやすさなど、自分に合ったものを探すのもささやかな楽しみです。

ハンマー

古い鉢から株を引き抜く際、鉢と株の密着を解消し、引き抜きやすくするに便利です。鉢の素材によっては、叩くことで破損につながるため、ハンマーの素材や力加減に注意しましょう。ゴム製のものを選ぶと、鉢にも比較的優しいと言えます。

園芸用シート

室内で植え替えをするときはもちろん、屋外やベランダ等で作業するときも、敷き物があると土が散らからず便利です。新聞紙など、大きめの紙でも十分に代用が利きますが、園芸用シートなら、繰り返し使うことができます。また、園芸シートはビニール素材のものが多く、洗って清潔に使用できるのも利点です。

加えて、四隅をボタンで留められるタイプのものを選べば、四辺が少しだけ立ち上がるため、用土がシートの外へ散らかりにくくなります。片づけまで楽に終えられると、作業がしやすくなるでしょう。

メネデール(植物活力剤)

メネデールは、植え替え時や、植物が弱ったとき、日々の水やりに使用できる、植物用の活力剤です。植え替え直後で、まだ落ち着いていない根でも、負担なく養分を吸い上げられるよう、成分の形に工夫が施された、優れた活力剤です。植え替え後の植物の健やかな生長のために、使用してみてはいかがでしょうか。

関連記事

大切な植物を元気に育てるために、その植物に適した基本的な管理の実施は欠かせません。ただ、水やりや日照、温度、管理場所などにきちんと気を配っていても、植物が不調に陥ったり、生長が活発ではないように感じられたりすることもあります。そうしたとき[…]

【必需品】
○新しい鉢(1~2回り大きなもの)
○新鮮で清潔な用土
○鉢底石
○鉢底網
○細い棒

【あると便利な物】
○移植ごて(小さなスコップ)
○ハサミ(園芸用)
○ハンマー
○園芸用シート
○メネデール(植物活力剤)

植え替えの手順

具体的な植え替えの手順を紹介します。慣れてしまえば思いのほか簡単な一本道です。ぜひ覚えて、言葉だけではない、自分だけの感覚をつかみましょう。手順は6つです。

ステップ1:鉢から植物を抜く

それまで植わっていた鉢から、株を引き抜きます。なかなか抜けない場合も、力を入れて無理に引っ張らず、ゆっくりと、徐々に引き抜くようにしましょう。引き抜く前に、鉢の上端の淵を上から叩くと、株が抜きやすくなります。

手で叩いても問題ありませんが、力が足りない場合や、手が痛む場合は、無理をせずハンマーを使用するのがおすすめです。一方、素焼きをはじめとする陶器や磁器の鉢は、割れやすいため、ハンマーを使用するときは注意してください。

それでも抜けない場合は、細い棒や細いヘラ等を、鉢の内側と土との間に一周挿し込みます。そうすることで、土と鉢の間に隙間ができ、抜き出しやすくなります。

加えて、水やり直後など、鉢土が湿っている場合は、株が抜き出しにくく、また、作業の際、濡れた土の重みで根が切れやすくなるため、注意が必要です。したがって、植え替え作業前の水やりは控え、鉢土がある程度乾いてから植え替えると植物への負担が少なくて済むでしょう。

ステップ2:根鉢を整える

鉢から抜いた株の根が、非常に伸び、ぎっしりと絡まっている場合は、優しくほぐします。鉢の形に用土を包むように根が固まったものを根鉢と呼びますが、この根鉢はあまり崩しすぎないようにしましょう。

全体を崩しすぎないよう注意する一方で、肩の部分の土は優しく崩します。鉢から抜いた株の、上端の周囲が肩に当たります。鉢の形に沿って鉢土の肩が固まっていたら、植替えの際にきちんとほぐすことが大切です。

基本的には、根鉢の下側の3分の1だけを優しくほぐします。ただ、全体的に根鉢がきつく絡まっている場合は、側面を優しく、少しだけほぐしても問題ありません。根鉢をほぐすことで、植え替え後の根の張りや根の発生が良くなることが期待できます。

根鉢を整え終えたら、次は根を切ります。根を切ると言っても、必要がない場合は切らずに次の工程へ進みます。根を切る行為は、植物にとって大きな負担となるため、最小限にとどめるようにしましょう。切る必要がある根は、周囲の根と比較して明らかに伸びすぎた根、古く変色した根、枯れた根など、健やかな生長の妨げになる根です。

それ以外の根は、必要以上に傷つけないよう注意する必要があります。また、細い根がたくさん発生する植物の他、主要な太い根が中心に1本あり、その周囲に細い根がたくさん発生する種類の植物もあります。そういった植物の場合、中心の根が周囲の根と比べて長く伸びていても、決して切ってはいけません。

主要な根を切ると、枯れてしまうこともあるため、根の見極めに慣れない場合は、慎重に作業しましょう。しかし、そうは言っても、主要な中心の根は、太く、明らかに他の根とは異なるため、見分けやすく、それほど心配する必要はありません。

ステップ3:新しい鉢を準備する

引き抜いた株を植える、新たな鉢の準備をします。まず、鉢の底に、鉢底網を敷きましょう。穴の形状に合わせて、鉢底網は切って使用できます。その次に、鉢の高さの5分の1ほどの高さまで、鉢底石を敷きます。

鉢底網が穴の大きさにぴったりで、鉢底で動きやすい場合、鉢底石を入れた際、穴の位置からずれやすいので、注意してください。そのため、鉢底網は、穴よりも大きめに切っておくと良いかもしれません。

鉢底石の上には、新しい清潔な用土を敷きます。株を植える空間を残しておく必要があるため、あまり高い位置まで用土を入れすぎないようにします。隙間なく用土を入れるため、細い棒で、用土をつつきます。そうすると、土の高さが低くなるため、必要に応じて用土を足しましょう。

用土を入れたら、一度、株を仮置きしてみて、高さが問題ないか確認すると間違いありません。

この際、植え終わった際の土の一番上の高さが、鉢の淵から2~3cmほど低い位置にあるのが丁度良いです。この、土が入っていない高さ数cmの空間をウォータースペースと呼び、水やりの際、鉢から水が溢れるのを防ぎ、土に十分に水を浸み込ませ、行き渡らせるために有用な、意外と大切なスペースです。

仮置きをして、高すぎたり低すぎたりしたら、その都度用土を足したり取り除いたりして調整します。丁度良い高さになったら、次に進みます。

※ 植物をあまり大きくしたくない場合や、できるだけ同じ大きさにとどめたい場合は、それまでと同じ大きさの鉢を使用することも可能です。その場合は、古い土を新しい土に入れ替えるイメージで作業しましょう。必要に応じて根を切りますが、できるだけ最小限にとどめ、株の負担を減らす必要があります。

ステップ4:植物を植える

仮置きをして問題がなければ、鉢と株の間に用土を詰めます。細い棒でつつきながら、隙間なく用土が入るよう、丁寧に作業しましょう。細い棒を挿し込みながら作業すると、思いのほか用土を足す必要があります。根が土に密着するよう、十分に用土を詰めましょう。

まずは、鉢の周囲に沿って棒でつつき、周りから用土を足していき、それから中心に向かっていくと、作業がしやすいです。ただ、あまりきつく用土を入れすぎると、株が窮屈な思いをしてしまいます。そのため、力を込めて土をつつき、無理に用土を足すことは避けます。

また、株の上に土を盛りすぎるのも避けた方が良いでしょう。それまで植えられていた高さと、植え替え後の高さは、できるだけ同じにして、深植えや、反対に浅植えにならないよう気をつけます。

植えた植物が不安定にぐらつかないか確認し、問題があるようなら用土を足したり、棒で土をつついたりして、株を固定します。ただ、植え替え時は、根が十分に張っているわけではないので、多少はぐらついても問題ありません。

株が揺れて、倒れてしまったり、明らかに不安定だったり、用土が簡単に崩れてしまったりするようなことがなければ、それほど神経質にならなくても大丈夫です。

ステップ5:水をやる(土を足す)

植え替えが済んだら、水やりをします。水は、たっぷりと与えましょう。水やりをすると、土が沈み、落ち着くことで、理想の用土の高さよりも下がることがあります。その際は、上から用土を足し、再び水を与えます。日々の水やりと同様に、鉢底から水が流れ出るまで十分に灌水しますが、植え替えの際は、さらに灌水を続けましょう。

水をやることで、用土を固め、株を安定させる効果があるためです。水やりによって、根に土を十分に密着させる狙いもあります。鉢土をきれいにし、植物に心地良い空間にするため、用土の余分な細かい土を流し出すイメージでたっぷりと灌水します。

細かな土を洗い流しておけば、土の混じった水が水やりの度に流れ出ることも減り、また、受け皿も汚れにくいため、日々の管理が楽です。初めのうちは、どうしても水に土が混じりやすいですが、それでも、植え替えの際に十分に灌水しておくと、だいぶ軽減できます。

ステップ6:穏やかに管理する

水やりを終えたら、十分に水を切ります。しばらく時間をおいてから、鉢を少しだけ傾けると、余分な水がきれいに切れます。ただ、まだ株が不安定なため、鉢を傾けるときは十分に留意しましょう。鉢底穴から水が出てこなくなったら、管理場所に移動させて終了です。

管理場所は、日陰か日の当たらない少々明るい室内で、暖かく、温度変化のできるだけ少ない所が適しています。空気が滞留して、淀んだ場所は好ましくありませんが、一方で、それほど強い風通しは求めません。株が落ち着くまで、強い風に当てるのは避けましょう。

人が、静かに、穏やかに、静養するような環境を植物にも与える、と考えればわかりやすいのではないでしょうか。また、体を休める段階であるため、施肥の必要もありません。

植え替え後、最初の水やりは、通常の水やりよりも、少しだけ間隔をあけてやります。管理する環境や温度、湿度によっても鉢土の乾き具合には違いが生じるため、正確に何日後とは定められませんが、1週間から10日ほど、場合によっては2週間近くたって、鉢土が乾いてから水やりをしましょう。

しっかりと土を乾かすことで、根が水分を求めて広く張ります。したがって、適切に土を乾かすことで、根の活発な生長や活動を促すことができるのです。あまり早い段階で水を与えてしまうと、根を伸ばさなくても水が得られるので、株が楽をしてしまい、結果として根が十分に張らないという事態につながります。

加えて、植え替え直後は、根がまだ効率良く水分を吸い上げられないため、間隔をあけずに水やりをすると、過湿に陥り、株に悪影響を及ぼしかねないため、注意が必要です。ただ、カラカラになるまで鉢土を乾かすべき、というわけではありませんので、それほど神経質にならず、日々の水やりよりも数日、間をあけるような感覚で良いでしょう。

初めての水やりを終えたら、管理場所を徐々に明るい所へ移します。いきなり直射日光の当たる所に置くのではなく、レースのカーテンなどで適切に遮光して徐々に慣れさせながら、それぞれの植物に応じた、本来の適切な管理場所に移しましょう。

○植え替え手順(6ステップ)
①古い鉢から株を抜く。(鉢土が乾いているときに)
②根の整理をする。
③新しい鉢の準備をする。
④植物を植える。
⑤水やり。必要に応じて用土の補充。
⑥静かに休ませる。

メネデールの使用

植え替えの際、肥料を与える必要はありません。植え替え時に肥料を与えてしまうと、弱った株に余分な負担をかけてしまうためです。

人が、体に負担がかかり、ゆっくりと休むべきときに、スタミナをつけるような熱量の高い食事を摂りたくないのと似ています。植物にも、消化に良く、効率良く栄養が摂れる、お粥や湯豆腐のようなものを与えてやりたいものです。そうしたとき、植物にとって負担なく、そして効率良く栄養価を吸収できるものが「メネデール」です。

メネデールは、活力剤であり肥料ではありません。植え替え直後でも、株に負担をかけず、容易に根が栄養価を吸収できるよう、成分に工夫を凝らしているため、静養中の植物にも安心して使用できます。植え替えの成功率を高め、その後の生長を健やかなものにするため、取り入れてみるのもおすすめです。

関連記事

大切な植物を元気に育てるために、その植物に適した基本的な管理の実施は欠かせません。ただ、水やりや日照、温度、管理場所などにきちんと気を配っていても、植物が不調に陥ったり、生長が活発ではないように感じられたりすることもあります。そうしたとき[…]

○メネデールは植え替えの強い味方。
○植え替えの成功率を高め、植え替え後の生長をより良くするのにおすすめ。

「植え替え」で植物にも人にもゆとりを

暮らしに彩りや安らぎ、瑞々しさをもたらしてくれる植物。そんな植物を元気に育てるため、植え替えは欠かせません。新しい鉢と土に植替えてやることで、植物が生長する空間にゆとりが生まれます。そして、植物の健全な生育は、見る人の気持ちや暮らしにもゆとりをもたらすでしょう。

暮らしに穏やかな時間を流れさせるためにも、ともに過ごす植物には活き活きとしていてもらいたいものです。そのためにも、積極的に植え替えを行うことが大切です。加えて、植え替え時に、鉢の雰囲気を替えてみるのも、楽しいひとときかもしれません。ぜひ、インテリアや好みに合わせて、鉢のデザインも楽しんでください。

きっと、暮らしもボタニカルライフも、いっそう豊かなものになるはずです。

まとめ:植物を健やかに育てる「植え替え」

「植え替え」は、植物を健全に育てるために欠かせない、大切な作業です。一見難しそうですが、植え替えの作業は主に6つの手順で完了する、単純な一本道です。必要な物を揃え、手順を追って丁寧に作業を行えば、決して難しいものではありません。慣れないうちは慌ててしまうかもしれませんが、丁寧に作業することが大切です。

迅速に作業を終えることは植物にとって優しいことですが、一方で、最初のうちは焦らず、ひとつひとつ確実に作業を進めることが、結果として一番の早道であり、植物にとっても優しい結果につながります。何度か植え替えを経験することで、慣れ、自分なりの最良の植え替えができるようになるでしょう。

植物を思って植え替えをする、そんな温かい気持ちは、きっと植物にも伝わります。