【ドウダンツツジ】たわわな花・燃える紅葉~可憐な植物の育て方~

植物と言うと、どのような花を咲かせるのかが一番の関心事、という人も少なくないかもしれません。ただ、一般的に植物は、花を咲かせていない期間の方が長いです。そうすると、花はもちろんですが、葉や草姿、樹形の美しさにも気を配り、一年を通して楽しめる魅力的な植物を選ぶことも素敵ではないでしょうか。

一方、様々な植物があるので、必ずしも総合的なバランスのとれたものばかり選ぶ必要はなく、思い入れのあるものや、花がとても気に入ったものなどを選択するのも素晴らしいことです。

そうした、思い入れのある植物、好みの植物、好奇心をくすぐる植物などとともに、ぜひ植えてみたいのが「ドウダンツツジ」です。

ドウダンツツジは、一年を通して魅力的な姿をたくさん見せてくれる、美しくも可愛らしい植物です。他の植物とも柔らかく馴染み、それでいて、あるかないかでその場の雰囲気を大きく左右する、小さくも頼もしいドウダンツツジの魅力をお伝えします。

ドウダンツツジについて

ドウダンツツジは、日本原産の植物であり、樹高は数十センチから2メートルほどの灌木です。春には、白く小さな壺型、釣鐘型の花がぶら下がるようにたくさん咲き、秋には見事に紅葉します。

そして、ドウダンツツジは、たくさんの小ぶりな葉を燃えるように紅葉させて後、葉を落とす落葉樹です。

ツツジ科のドウダンツツジ属に属するドウダンツツジは、漢字で灯台躑躅や満天星躑躅とも書きます。周りを照らし出すような明るさや、白く小さな花をいっぱいに咲かせる姿を見ると、そうした漢字が充てられたことにも納得がいきます。

ただ、余談ではありますが、灯台躑躅の「灯台」は、岬等にある航路標識を指すものではなく、古く、照明道具として使われた、「結び灯台」に由来したものです。ドウダンツツジの枝分かれの様子が、結び灯台の形状に似ていることから、この漢字が充てられたと言われています。

また、ドウダンツツジは、寒さや暑さ、厳しい剪定や刈込みにも耐える丈夫な性質で、病気にもなりにくく、害虫の被害も受けにくい植物です。

加えて、枝が細かく、密に発生するため、見た目にも間延びした印象がなく、低木ながらしっかりと締まった凛々しさや美しさがあることもドウダンツツジの特徴です。

丈夫であることに加え、日本原産であるということもあり、ドウダンツツジは比較的育てやすく、初心者にも管理が簡単な、栽培難易度の低い植物だと言えるでしょう。

庭木や生け垣に用いる花木としても、ドウダンツツジの人気は高く、その人気を裏づける確かな魅力に満ちた植物です。

一方で、日本各地で栽培されるドウダンツツジは、葉の小さな優良個体を選び、改良、栽培を重ねたものであるため、野生に残るドウダンツツジとは一見、姿が異なります。

野生のドウダンツツジは、比較的葉が大きく、枝の発生もそれほど密ではなく、一般に栽培されるものよりも少々大作りな印象があるでしょう。

○ドウダンツツジ:満天星躑躅、灯台躑躅
○日本原産の低木花木。落葉樹。
○春季の花と、秋季の紅葉が特徴。
○枝が良く分岐し、締まった枝ぶり。
○小ぶりな葉が良く茂る。
○病気や害虫に強い、丈夫な性質。
○栽培難易度が比較的易しい。

ドウダンツツジの魅力

ドウダンツツジの魅力は、季節によって異なる表情を見せるところや、用途に応じた多様な植え方ができるところです。

ドウダンツツジの四季

一年を通して暮らしを彩ってくれるドウダンツツジの魅力を、季節ごとに紹介します。

春は、ドウダンツツジの花の季節です。ドウダンツツジの花は、4月頃に咲くことが一般的で、葉の新芽が顔を出すのと同時期に開花するか、あるいは、花の方が新芽よりも早いことも多くあります。

株全体にバランス良く、たわわに花をつける姿は、素晴らしく、近くで見ても、遠目で見ても美しいでしょう。白くて小さな花は、可憐な印象があり、見る人の気持ちを温かく、それでいて、ころころとした弾むような気持ちにしてくれます。

花とともに旺盛に萌える、明るい緑色の小ぶりな葉も美しく、白い花とのコントラストは、まさに春の穏やかな空気と、暖かく眩しい陽光のようです。

スズランにも似た花の形は、ブラウスやワンピースなどの袖に使用されることの多い、パフ・スリーブのようで、可愛らしさもありながら、華やかさも同居します。ちょうちん袖とも呼ばれるパフ・スリーブは、春らしい心持ちを見事に表現した、軽やかなデザインです。

そんな、愛らしい姿の花を、枝にたくさんぶら下げるドウダンツツジは、春を彩り、気持ちをふっくらと軽くしてくれる、素敵な存在です。

夏 

花の季節が終わっても、ドウダンツツジの魅力は続きます。春、新緑の時季、ドウダンツツジの葉は明るい緑色をしています。一方で、夏になると、葉の色素が落ち着くようにして、少しだけ緑色の深みが増すのです。

まさに、深緑の季節を迎え、花の白さや、葉の爽やかな緑がもたらす、明るい雰囲気とは少々異なる、落ち着いた風合いを漂わせるでしょう。それでも、葉は、それほど濃い緑というわけではないので、暗い印象は決して受けません。

また、葉は、小さいながらも形良く少々尖っていて、それぞれが上を向くようにしてついています。その姿は、さながらバドミントンのミニチュアのシャトルのようで、テンポを感じさせる軽やかさがあります。

その年に伸びた枝が、少々赤みを帯びているのも、控えめながらも楽しいドウダンツツジのアクセントです。このように、花がなくても、新芽が萌えていなくても、庭木や生け垣として、絶好の効果を、慎ましく発揮するのが、夏のドウダンツツジです。

葉の大きさや、樹形の慎ましさが相まって、可憐な花をいっそう引き立てるドウダンツツジですが、秋にはさらなる魅力が待っています。それは、燃えるように美しい、紅葉です。

紅葉の時季は、だいたい、10月の終わり頃から11月にかけての、寒さが深まり始める、秋の候です。ドウダンツツジの紅葉は、寒さが深まるにつれ、その赤みを増し、目を見張る美しさがあります。

ドウダンツツジは、枝が密に発生し、その枝に小ぶりな葉がたくさんつくため、その葉が一様に紅葉したときの美しさは圧倒的です。

徐々に紅葉が進み、もっとも深い色合いの深紅となり、最後は落葉します。真っ赤な落葉は、散ってもなお、足元を彩り、見る人を楽しませることでしょう。

花や葉の魅力も然ることながら、ドウダンツツジの紅葉を一番の魅力だと捉え、毎年、その季節を楽しみにしている人も少なくありません。

寒い季節の訪れを告げ、そして、同時に、寒さに負けない燃えるような美しさをもたらすのが、秋のドウダンツツジです。春に萌えた葉々が、秋に燃えるように散る姿は、秋ならではの郷愁にも似た、滋味深い印象を見る人の心に映すでしょう。

落ちきらなかった葉を、数枚携えながらも、冬、やがてドウダンツツジの木は見事にすべての葉を落とします。花を終え、葉を終え、寒い季節を迎えたドウダンツツジですが、その魅力に終わりはありません。

先にも述べましたが、ドウダンツツジの枝ぶりは密で、バランスがとれた樹形をしています。したがって、花も葉も落とした、枝だけの裸の姿になったとしても、ドウダンツツジは季節に寄り添った美しさを見せるでしょう。

剪定や刈込みの仕方にもよりますが、ドウダンツツジの木は、枝だけになっても、空を向くような、すっとした立ち姿をしています。冬の乾いた冷たい空気のなか、その姿には清々しさや凛々しさがあるのです。

ただ寒いだけではない、冬ならではの美しい季節感を、ドウダンツツジの木や枝は引き立ててくれます。

〈ドウダンツツジ四季の魅力〉
○春:4月頃、白く小ぶりな壺型の花がたくさん下垂する。花と同時か、少し遅れて新芽が旺盛に発生する。
○夏:葉の緑が濃くなり、良く茂る。その年に伸びた枝は赤みを帯びる。
○秋:10月~11月にかけて、紅葉する。
○冬:落葉し、締まった、密な枝ぶりが顕わになる。

多様な植え方

一本でも、複数でも、ドウダンツツジには植え方に応じた素晴らしさがあります。正に、雰囲気づくりの名人です。

シンプルに植える

ドウダンツツジは、一本だけ植えたり、複数をまとめて植えたり、一列に並べて植えたり、あるいは、一列にしたうえで、垣根のように刈込んだりと、その空間に合わせた様々な植え方をすることができ、柔軟な空間演出の役に立ちます。

玄関脇や門の傍など、ちょっとした空間にドウダンツツジを一本植えるのも素敵です。また、そうした空間に少し余裕があれば、数本をきゅっとまとめて植えても、違った雰囲気が楽しめるでしょう。

玄関横などに単独や少数で株を植える場合、冬場は、葉を落とした枝に飾りつけをすることもできます。背が低い木なので、電飾や飾りつけをしても、それほどうるさい印象にはならないでしょう。まだ小さい子供が飾りつけをするのにも、丁度良い高さだと言えます。

たくさん植える

加えて、車の駐車スペースの仕切りや、庭の端、また、デッキやベランダに沿わせて、一列に植えるのも素晴らしい景観を生みます。花の季節や紅葉の季節、一列に並んだドウダンツツジは、どの角度、どの距離から見ても圧巻です。

複数の株を一列に並べることで、小さな植物とは思えない存在感できます。一方、それでいて決して規律を乱さず、強すぎる印象にならないのは、一列という植え方と、ドウダンツツジ自体の均整の取れた樹形や立ち姿が相まった結果でしょう。

ドウダンツツジは刈込みにも強い植物です。単に一列に並べるだけでも美しいですが、枝を密にして、垣根のように剪定することで、また一味違う趣が楽しめます。

一般的に、落葉樹は生け垣に使用されませんが、ドウダンツツジは葉を落としても枝が密であるため、ある程度の目隠し効果が得られます。また、枝の美しい繊細さは、葉を落としても鑑賞に堪え得る素晴らしさがあるため、生け垣としても人気が高いのです。

好みの剪定や樹形を見つけることで、ドウダンツツジが枝だけになる季節も、その魅力にいっそう触れることができるでしょう。

鉢植え

ここまで、主に庭など、屋外に植える場合のドウダンツツジの魅力について紹介してきましたが、ドウダンツツジは、お部屋のなかやベランダなどで、鉢植えにして育てることができます。

剪定をして、思い思いの樹形を楽しむこともでき、また、ドウダンツツジは季節に応じてその姿を変えるため、部屋で鑑賞することで、室内に四季を運び込むのも素敵でしょう。

室内やベランダ等では、庭木を育てるのは何かと難しいものです。一方、ドウダンツツジなら、比較的小さな灌木であり、管理もそれほど難しくないため、鉢植えで楽しむことができます。

○ドウダンツツジは、庭植え、鉢植え、ともに楽しむことができる。

○庭植え:少量植えても、たくさん植えても、それぞれに魅力がある。
○少量植える:シンプルな美しさ。省スペースで、空間に彩りを加える。
○たくさん植える:一列に植えたり、生け垣のように刈込んだりと、密な枝ぶりと、良く茂る葉を存分に活かす。

○鉢植え:庭木では小さい植物に分類されるドウダンツツジ。鉢植えにしてベランダ等で育てることも可能。

育て方

ドウダンツツジは、日本が原産ということもあり、日本の気候に適した植物です。そのため、ドウダンツツジの栽培は容易だと言えるでしょう。

比較的育てやすい植物ですが、より健やかに、できるだけ失敗なく育てられるよう、管理のポイントを紹介します。

用土

ドウダンツツジの特徴の一つとして、酸性の土壌を好むという性質が挙げられます。そのため、ドウダンツツジを植える際に使用する用土は、酸性に傾いたものが求められます。

庭に植える場合は、事前に、酸度未調整のピートモスと、腐葉土をすき込み、土づくりをしておくと、ドウダンツツジに適した、酸性の土壌にすることが可能です。

鉢植えの場合は、市販の用土を使用するのが便利です。このとき、一般的な観葉植物用土などではなく、ツツジやブルーベリーに使用する用土を選ぶと良いでしょう。ツツジやブルーベリーもまた、ドウダンツツジと同様に、酸性の土壌を好む植物です。

また、自分で用土を配合する場合は、土の酸度を酸性に傾けつつ、同時に、水はけと水もちの良い土になるよう調整しましょう。

ドウダンツツジは、地表近くに細かい根をたくさん張る植物です。地表近くは、土のなかでも最初に乾き始めるため、その位置に根を張るドウダンツツジは、乾燥を嫌います。したがって、水はけを保ちつつ、水もちの良い用土にすることが大切です。

植付け(植替え)

用土の項でもすでに述べましたが、ドウダンツツジは浅く根を張る植物です。そのため、植える際は、深植えになりすぎないよう注意が必要です。

極端な浅植えも良くありませんが、ドウダンツツジを植える場合は、あまり深く植えないことがポイントと言えるでしょう。株のぐらつきが気になる場合は、深く植えて固定するのではなく、支柱を立てて安定させます。

ドウダンツツジの植替えや植付けの適期は、一般的な植物とは少々異なります。多くの植物が、気温が十分に上がった春に作業を行いますが、ドウダンツツジの場合は、新芽の活動が始まる前の、3月~4月頃が適期です。

また、極端に寒さが厳しい時期を除く、冬の落葉期にも植替えや植付けが可能です。こうしたことから、ドウダンツツジの植えつけ等の作業は、春の兆しを感じられるものの、まだ寒さの残る頃、春隣に行うのが良いでしょう。

加えて、鉢植えの場合、植替えの頻度は2年に一度が目安です。それまでの鉢よりも一回り大きなものに、庭植と同様に、深植えにならないよう植替えましょう。

庭植え後の水やりは、天候によって左右されますが、雨が降らなければ2日に一度を目安に行います。根づくまで、1か月間は水やりをしましょう。ただ、この頃は、まだ、極端に土が乾きやすいというわけではないので、それほど神経質にならなくても大丈夫です。

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水やり

庭植えの場合、基本的に水やりの必要はありませんが、夏場に土が極端に乾くようであれば、朝か夕に十分灌水します。根が浅く張る浅根性の植物であるため、地表部の乾燥は、ドウダンツツジにとって大きな負担になります。

根の届く部分が極端な水切れを起こさないよう、水やりの管理をするのが大切です。特に、西日が当たる場所に植えつけた場合は、夏場に水切れを起こさないよう注意しましょう。

極端な乾燥が続くと、強い性質のドウダンツツジでも、枯れてしまうことがあります。加えて、夏場の水やりの充実が、その年の紅葉の美しさに影響を与えるため、ドウダンツツジが、秋、きれいに色づくためにも、夏場の水切れには注意しましょう。

鉢植えの場合、気温が高く、生育も旺盛な春から夏にかけての5月~9月は、鉢土が乾いたらたっぷりと水を与えます。一方で、生育が鈍る、休眠期に当たる落葉期は、水やりを控えめに行いましょう。

ただ、休眠期だからと言って、水やりが全く必要ないというわけではありません。通常の水やりよりも間隔を空けて、少々乾燥気味に管理すると良いでしょう。

目安としては、通常であれば水やりをするタイミングから、さらに2~3日待ってから与えるなどすると、わかりやすいかもしれません。

管理場所(温度と日照)

ドウダンツツジは耐寒性、耐暑性、ともに非常に強い植物です。そのため、庭植えでの越冬はもちろん、鉢植えでの管理でも、一年中屋外で管理することができます。

十分な日当たりは、花つきや美しい紅葉に影響を与えるため、しっかりと日に当てるようにしましょう。極端な乾燥を避けるため、鉢植えの場合は、夏場のみ、西日が当たる所には置かず、半日陰で管理すると安心です。

庭植えの場合も、日当たりの良い所に植えることが大切です。植えつけ場所に選択の余地があるのであれば、西日が当たらない所だとなお良いでしょう。ただ、夏場の水やりに気をつければ、西日が当たる場所でも問題なく育てることができます。

繰り返しになりますが、ドウダンツツジは日陰で育てると、花つきが悪くなり、さらに紅葉にも本来の鮮やかさは見られず、色が冴えません。したがって、ドウダンツツジの魅力を十分に引き出すためにも、日照条件の確保は大切です。

室内でドウダンツツジを鑑賞したい場合は、通年を室内で育てるのではなく、鑑賞したいときに一時的に取り込むようにして、普段は戸外で管理する方が良いでしょう。

剪定

萌芽力が高く、厳しい刈込みにも耐えることができるドウダンツツジは、丈夫な植物です。そのため、自然な樹形に整えるだけの剪定のほか、丸く剪定したり、生け垣になるように刈込んだりと、様々な形で楽しむことができます。

落葉樹でありながら、ドウダンツツジが生け垣にも利用されるのは、その見た目の美しさだけではなく、ドウダンツツジの萌芽力の高さと、刈込みにも耐え得る丈夫さならではでしょう。

剪定は、花を終えたらできるだけすぐに行うのが良いでしょう。ただ、生け垣の場合は、落葉期に、全体のバランスを見ながら整え、樹形を揃えるときれいに仕上がります。

生け垣でなくても、落葉期に剪定を行うことは可能ですが、基本は花後すぐ、と覚えておくと安心です。

また、剪定の際、注意しなくてはならないこともあります。6月~9月にかけては、ドウダンツツジの花芽の分化時期に当たります。花芽の分化は、花をつけるための大切な現象です。

分化後すぐに剪定を行うと、花つきが悪くなるため、この時期に剪定を行わないように注意する必要があります。

刈込みの際は、枝の長さや太さを揃えるようにするのが良いでしょう。したがって、周囲の枝よりも勢いが良すぎるものや、明らかに太すぎるものなど、不要な枝を剪定します。

また、萌芽力の高いドウダンツツジですので、枝が密になりやすいという特徴があります。それがドウダンツツジの特徴であり、魅力でもありますが、一方で、密になりすぎると、株の内部が蒸れやすくなるため、必要に応じて、内側も適度に透くように剪定しましょう。

肥料

必ずしも肥料を施さなくても、ドウダンツツジは生育しますが、たくさんの花をつける植物であるため、体力の回復の意味も込めて、花を終えたら緩効性の化成肥料を施すと良いでしょう。有機質の肥料でも差し支えありません。

加えて、翌春の新芽が活発に発生するよう、2月~3月にも、花後の施肥と同じ内容で肥料を施すのも効果的です。ただ、これは、越冬した株に対して行うものですので、その冬に植えつけたり、植替えたりしたばかりの株にはやらないようにしましょう。

殖やし方

ドウダンツツジは、一般的に挿し木で殖やすことができます。挿し木の適期は6月~7月頃で、この場合、その年の春以降に伸びた枝を挿し穂として使用します。

挿し穂は、春以降に伸びた新しいものであることが求められますが、同時に、発生から数か月が経ち、十分に硬くなっている枝であることを確認しましょう。

加えて、ドウダンツツジの挿し木は、落葉期に当たる2月~3月にも行うことが可能です。その場合は、前年に伸びた枝を挿し穂として使用します。

挿し穂は2~3節ほど(約10センチ)で切り、1~2時間ほど水に浸けておき、十分に吸水させます。下の方に葉がついている場合は、落としましょう。その後、2節ほどが埋まるよう、用土に挿し、水を与えます。

発根までの間、用土が乾かないよう、こまめに霧吹きなどで水を与えます。新芽が動き出せば、それが発根した印です。

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○耐寒性、耐暑性に優れた植物。
○酸性の土壌を好む。

○浅く根を張るため、深植えしないようにする。
○地表付近の土の乾燥を嫌う。

○植替えや植付け作業の適期は、3~4月頃。
○庭に植付けした場合は、夏までの間、2日に一回程度、水やりをする。
○水やりは、庭植の場合は基本的に必要ない。鉢植えの場合は、鉢土が乾いたらたっぷりと与える。庭植えは、夏、乾燥が続く場合や、雨が降らない場合には朝か夕に水やりをする。
○夏場の十分な水やりは、紅葉や翌春の花つきにも影響する。
○日当たりの良い場所に植える。西日が避けられるのなら、避けた方が安心。
○鉢植えは、屋外でも越冬可能。
○剪定適期は、花後できるだけすぐ。遅いと、翌春の花つきに影響する。
○花後や、芽吹きの前に施肥すると、良く育つ。
○挿し木で殖やす。

ドウダンツツジがある暮らし

可憐な花がたわわに咲き、春の訪れを知らせるドウダンツツジは、身も心も解きほぐすように、うっとりと、そして軽やかな気持ちにさせてくれます。玄関脇に、庭先に、鉢植えでベランダに、様々な場所で暮らしに寄り添うドウダンツツジは、きっと暮らしに彩りを与えてくれるでしょう。

小さな花が鈴を揺らすようにころころと咲く姿は、暮らしにも心にゆとりをもたらしてくれます。その繊細な美しさからは想像できないほどの、丈夫な性質も、育てる人にとって嬉しい点ではないでしょうか。

盛夏には色鮮やかに葉を茂らせ、秋には目を見張るほどの美しさで、燃え上がるように紅葉するドウダンツツジ。葉を落としてからも繊細な枝ぶりで魅せ、一年中飽きることのない魅力でたっぷりと楽しませてくれる、ドウダンツツジは、そんな優れた植物です。

四季を通して色を変え、姿を変えながらも、決して変わることのない、一貫した強さや美しさを内包していることが、ドウダンツツジの真の魅力なのかもしれません。

まとめ:ずっと見ていたくなる植物「ドウダンツツジ」

日本原産の花木であるドウダンツツジは、暑さや寒さ、病害虫にも負けない、丈夫な性質を持つ花木です。たっぷりの日射しと水で健やかに育ち、四季を通して、見る人を楽しませる、美しい植物です。庭木としてはもちろん、生け垣や鉢植えなど、幅広く活用できるのも、ドウダンツツジの人気の理由でしょう。

深植えをせず、極端な乾燥を避け、酸性の土壌を与えてやれば、すくすくと元気に育つドウダンツツジは、管理が比較的簡単で、それほど手のかかる植物ではありません。したがって、忙しい人や、初心者にも安心な植物だと言えるでしょう。

花、新緑、深緑、紅葉、枝ぶり、と一年中ずっと見ていたくなるほど、魅力に溢れるドウダンツツジを、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。