【ポインセチア】赤く色づける育て方「クリスマスカラーで冬飾り」

冬、クリスマス時季を中心に、街の様々な所で見かける植物、ポインセチア。赤と緑のクリスマスカラーが美しく、見る人の心を惹きつける植物ですが、実は冬以外の季節でも、観葉植物として育て続けることができます。

きらびやかに飾りつけられた冬にこそ映えるポインセチアだと思う人もいるかもしれませんが、ポインセチアを育て続ければ、クリスマスに限らず、一年中観葉植物として楽しむことができます。さらに、翌年のクリスマスには、ポインセチアを再び赤く色づかせることもできるのです。

このように、ポインセチアは、クリスマス時季にのみ飾り、シーズンが終われば枯れてしまう植物ではありません。赤い葉が散ったり、鮮やかな色が褪せたりすることもあり、観賞価値が失われたように思えるかもしれませんが、しかしながら、もう鑑賞価値がなくなったわけでも枯れたわけでもなく、ポインセチアはまだ生きています。

素敵で美しい冬をともに過ごした後、再びクリスマスを迎えるまでのポインセチアの育て方を中心に、ポインセチアの魅力を多角的にお伝えします。

※本記事は、比較的長めの文章です。読みにくく大変申し訳ありませんが、目次より、必要な項目を選択して頂ければ幸いです。
※主に、記事の前半がポインセチアの基礎知識、周辺知識について、後半が詳しい育て方についての記述です。

クリスマスに欠かせないポインセチア

厳かなクリスマスに静かな華を添えたり、きらびやかなクリスマスの華やかさを支える役割を担ったりと、ポインセチアはクリスマスシーズンには欠かせないものの一つです。街のあちらこちらでポインセチアを見かけるようになると、何となく心が温まり、わくわくとした心持ちになってくるから不思議です。

クリスマスシーズンを前に、流通が盛んになるポインセチアですが、その見た目は、冬の厳しい寒さとは対照的で、温かみに溢れています。真っ赤なポインセチアは、よくよく見ると、ビロードのような質感があるようにも思えます。

ビロードは秋冬の洋服に取り入れることの多い温かい素材ですが、ポインセチアのそうした質感のどことない類似が色合いと相まって、何とも言えない温かい印象を与えるのかもしれません。燃えるような赤と、穏やかな濃緑のコントラストが見事なポインセチアは、まさにクリスマスカラーそのものです。

そのポインセチアまだ捨てないで

お祝いごとに欠かせない胡蝶蘭、冬の贈答の定番シクラメン、そしてクリスマスシーズンの主役ポインセチア。植物は様々な場面で大切な役割を担うものが多く、人々の暮らしにおいても重宝されてきました。特に先に挙げたものは、そうした側面が強い植物の一例です。

そして、こうした植物に挙げられる共通点は、人々の暮らしに深くかかわっていることだけではありません。もう一つの大きな共通点は、花盛りや見頃を過ぎたら、あるいはシーズンオフになったら、処分されてしまうという点です。つまり、多年草でありながら、一年草のように扱われることが少なくないと言えます。

様々な行事に欠かせない植物は、その行事が終わったり、花などの見頃を終えたりすると、たとえ枯れていなくても処分されたり、一年草ではなく多年草であるのにもかかわらず、実際にその年限りで枯れて捨てられたりされることも少なくありません。

そして、ポインセチアもその例に漏れず、クリスマスが過ぎ去り、燃えるような赤さを失うと、処分されてしまうことが多いと言えます。

ただ、生活スタイルや仕事の都合などで、植物を育てられない、または、ポインセチアを再び赤くするような世話がどうしてもできないという人がいることも事実です。そうした人が、ゆとりある素敵なクリスマスを過ごすために、美しい真っ赤なポインセチアを買い求めて飾ることは決して悪いことではありません。

一方で、育て方次第で、長く同じ時間を過ごせるのであれば、そして翌年のクリスマスも素敵に彩ってくれるのであれば、ずっとポインセチアを育ててみたいと思う人もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では、見頃を過ぎても決して枯れたわけではなく、きちんと観葉植物としての鑑賞価値があるポインセチアについてお伝えするとともに、再び燃えるような赤さを取り戻して、翌年のクリスマスを迎えるための準備についてもお伝えします。

処分することが悪いことで、育て続けることが良いことだという意味では決してありません。ただ、少しでも気になる人は、今年のポインセチアを少しだけ気長に見守ってみるのも素敵ではないでしょうか。それでは、ポインセチアのお話を始めます。

○ポインセチアは一年中観葉植物として育て続けられる。
○ポインセチアはその年限りで枯れてしまう一年草ではない。
○管理次第で、来シーズンも赤く色づけられる。
○栽培や管理が難しい人は、ゆとりあるクリスマスを過ごすために、翌年、新たにポインセチアを買って飾るのも一つの素敵な選択。

ポインセチアについて

ポインセチアの構造や特徴、性質などについて、細かく紹介します。

ポインセチアの作り

真っ赤な葉が印象的なポインセチアですが、この赤い部分は厳密には「苞葉(ほうよう)」または単に「苞(ほう)」と言い、葉が変形した器官です。

加えて、色合いが鮮やかなことから、赤い部分が花のように見えるかもしれませんが、実際の花は、赤い苞葉の付け根付近の黄色い部分であり、また、花であっても花弁はありません。

つまり、ポインセチアは、花弁のない黄色い花を中心に、その周りに赤い苞葉があり、さらにその周りの、花からやや遠い所に、赤く色づかない緑色の葉があるのです。

また、管理次第では、その年限りで枯れてしまうことも少なくないためポインセチアは一年草のように思われる場合もありますが、実際は、常緑性の低木であり、園芸品種でも、その樹高は1m以上に達することもあります。さらに、ポインセチアの原種が自生する地では、3~5mほどになることもあるようです。

○ポインセチアの赤い部分 : 苞葉(ほうよう)、または苞(苞)
○ポインセチアの緑の部分 : 葉
○ポインセチアの花 : 苞葉の中心部、付け根付近の黄色い部分。蕾の状態では緑色。花弁はない。
○ポインセチアは常緑性の低木。

ポインセチアは「短日植物」

ポインセチアは短日植物に分類される植物です。短日植物とは、日の光が当たる時間が一日の半分程度以下になるなど、日照時間がある一定以下になることで花を咲かせる植物を指します。

ポインセチアの大きな魅力である赤い苞は、実は、ポインセチアが短日植物であるという特質と大きな関わりがあります。なぜなら、ポインセチアの苞が赤く色づくのは、日照時間が短くなり、ポインセチアが花を咲かせる時だからです。

言い換えれば、ポインセチアの花が咲かなければ、苞は依然として色づかず、緑色のままです。したがって、本来、日照時間が一定以下になるのは花を咲かせるために必要な条件ですが、殊、ポインセチアにおいては、苞を赤く色づかせるためにも間接的に必要な条件と言えます。

なお、自生種のポインセチアであれば、冬が近くなると自然と日が短くなる自然条件下において、10月下旬頃から花芽をつけ始めるとされています。一方で、室内で育てる園芸品種のポインセチアの場合は、照明などの影響を受けることが多いため、花を咲かせるには光が過剰であり、自ずと苞も赤くならないのです。

そこで、照明の影響を受ける場所であっても、花を咲かせ、苞を色づかせるために光をコントロールすることを「短日処理」と呼びます。短日処理を施すことで、夜でも明々とした室内で、ポインセチアの花を咲かせ、赤々とした姿にすることができるのです。

このように、短日処理を行うことで、翌年も赤いポインセチアを楽しむことができます。なお、短日処理の詳しい手順は、後述の「育て方/短日処理」の項に記載してあります。

○ポインセチアは短日植物。
○短日植物 : 日照時間が一定時間以下になると花を咲かせる植物。
○自生種のポインセチアは、自然条件下では、10月頃から花芽をつけ始める。
○暮らしの空間で育てられる、園芸品種のポインセチアは、短日処理によって赤く色づける必要がある。
○短日処理 : 人工的に、光に触れる時間を短くコントロールする作業。

ポインセチアの性質

ポインセチアの際立った特徴は、先に紹介した、特徴的な苞や花弁のない花を有すること、そして、短日植物であることなどが挙げられます。他方、この項では、そうした特筆すべき特徴以外の、それでいて育てる上では知っておくと役立つ、ポインセチアの大切な性質を紹介します。

ポインセチアは、冬、特にクリスマスを中心とする年末の寒い時季に、団欒の中心など、暮らしの空間に据えられ、温もりを分け与えてくれる植物です。

このように、ポインセチアの主役になる季節が冬であることから、ポインセチアは冬の寒さに強い植物だと思う人もいるかもしれません。ところが、実は、ポインセチアは寒さには強くない、むしろ、どちらかと言えば寒さが苦手な植物なのです。

クリスマス時季に、私たちがよく目にするポインセチアは、元々、メキシコの山地や中米が原産である熱帯性植物の、ユーフォルビア・プルケリマという植物を改良して作り出された園芸品種です。

自然界の原種であれば、比較的耐寒性に優れていて、霜に当たっても枯れないことさえありますが、一方で、クリスマスに私たちの元へ届けられる園芸品種のポインセチアは、そうした自生種とは異なり、寒さを苦手としています。例えば、霜に当たればすぐに枯れてしまい、冬場はできる限り10℃以上の温度環境を保つ必要があります。

また、耐寒性が弱いポインセチアですが、耐暑性も耐寒性ほどではありませんが、やや弱い傾向にあるでしょう。寒さ暑さに弱いことと、短日処理の必要性とが相まって、観葉植物の栽培に不慣れな人にとっては、ポインセチアは栽培難易度が少々高い植物と言えそうです。

このように、栽培がやや難しい側面も、ポインセチアがその年限りで処分されたり、枯れたりしてしまう要因かもしれません。そう聞くと、ポインセチアを育てることに及び腰になってしまうかもしれませんが、ただ、比較的難易度が高めだというだけであって、通常の管理をしていれば、すぐに枯れてしまうということはありません。

○ポインセチアは耐寒性に劣り、耐暑性もそれほど優れてはいない。
○冬場は10℃以上の環境で管理する必要がある。
○ポインセチアの原種は、メキシコの山地や中米が原産地の熱帯性植物。
○観葉植物栽培の経験値によっては、ポインセチア栽培の難易度はやや高いことも。
○適切な管理をしているにもかかわらずすぐに枯れてしまう、というほど栽培難易度が高いわけではなではない。

「ポインセチア」名前の由来

先述の通り、ポインセチアは、メキシコや、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の丁度つなぎ目の辺りに位置する細長い地域である、中央アメリカにも分布する植物です。このように、原産地がアメリカ合衆国ではないことははっきりとしていますが、しかし、ポインセチアという名前の由来には、あるアメリカ人が深く関与しています。

さて、アメリカとポインセチアにどのような関係があるかというと、ポインセチアの名前の由来となった人物は、アメリカ人のジョエル・ロバーツ・ポインセット氏という人物であり、彼は、特使としてアメリカの初代駐メキシコ公使を務めた人物です。

ポインセット氏は、法律や医学に精通し、政治家や医師として活躍する一方、植物学者としての一面も持ち合わせていました。

そして、彼が、1825年にメキシコからアメリカへ帰国する際、タスコ・デ・アラルコンという町に自生しているポインセチアを持ち帰り、アメリカで普及させたという経緯があります。

タスコはメキシコの南部に位置する山間の町であり、同時に中米に近い地域でもあるため、自生するポインセチアをポインセット氏が見つけたことにも頷けます。ポインセット氏の帰国とポインセチアの来米の結果、アメリカでのポインセチア栽培や品種改良が盛んになったのです。

加えて、ポインセチアは日本に明治中期に伝わり、和名を猩々木(ショウジョウボク)と言います。しかし、現在では、日本においてもすっかりポインセチアという名前が親しまれ、猩々木という和名こそ残っていますが、園芸においてはあまり一般的ではありません。

ちなみに、かつて、ポインセチアの原種が発見された際の学名は、ポインセチア・プルケリマとされていましたが、現在ではユーフォルビア・プルケリマと改められ、学名上ではポインセチアという名前はなくなってしまいました。
しかし、それでも、園芸界では今なお、ポインセチアという名前が広く親しまれています。

○ポインセチアの名前は、アメリカの政治家であり植物学者でもある、ジョエル・ロバーツ・ポインセット氏に由来する。
○ポインセット氏が、メキシコからポインセチアをアメリカに持ち帰り、アメリカでのポインセチア栽培や品種改良が盛んになった。
○和名は、猩々木(ショウジョウボク)。
○学名は、ユーフォルビア・プルケリマ。(かつては、ポインセチア・プルケリマ。)
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ポインセチアとクリスマス

ポインセチアがポインセット氏によってアメリカに持ち込まれ、日本を含め世界的に普及する以前に、原産国メキシコでは当然、すでに人々はポインセチアに親しんでいました。現地メキシコでは、ポインセチアを使用言語であるスペイン語でNochebuena(ノチェブエナ/クリスマス・イヴ)と呼ばれているそうです。

メキシコにおいても、古くから人々に大切にされてきたポインセチアですが、ポインセチアがクリスマスの象徴的な植物として扱われるようになったのは、メキシコにスペインの宣教師が訪れて以降だと言われています。

宣教師がポインセチアを見て、丁度、花が咲き、苞が色づく時期が、冬、クリスマス頃と重なるため、キリスト教の祭壇に飾られるようになりました。これが、ポインセチアとクリスマスの関係の始まりです。

ポインセチアの開花期や苞の色づく季節が冬であることは、ポインセチアがクリスマスの象徴的な植物になる上で大切な要素の一つですが、一方で、ポインセチアの色彩もまた、大きな要因でした。

ポインセチアは、赤い苞と、緑の葉、そして白い樹液を有しています。この3色は、キリスト教における大切な色であり、クリスマスカラーとも呼ばれる色です。

まず、キリスト教において、赤はキリストが流した血を表し、すなわちそれは、神の愛や寛大さを表していると言われおり、キリスト教のシンボリックな色です。クリスマスに欠かせない、サンタクロースの服にも、この赤色がメインに用いられています。

また、サンタクロース同様、クリスマスに欠かせないものの一つであるクリスマスツリーには、常緑樹であるモミの木が使用されますが、これは、冬の間も緑を絶やさない常緑樹が、キリスト教において、力強さや永遠の命を象徴する存在と見なされたことが理由です。

このことから、転じて、緑色には、永遠の命や力強さという意味が込められるようになりました。ちなみに、ポインセチアもまた、常緑性の植物です。

加えて、白色には純潔や潔白という意味が込められています。こうした、キリスト教で大切にされている色を備えていることも、ポインセチアがクリスマスの植物として定着する大きな要因となりました。日本では少々馴染みが薄い呼び方かもしれませんが、欧米では、ポインセチアをクリスマスフラワーと呼び、深く親しんでいます。

なお、ポインセチアの葉の形が、ベツレヘムの星を連想させることも、ポインセチアとクリスマスの関係性を深めていると言われています。ベツレヘムの星とは、キリストが生まれた際に輝き、キリストを拝むために集まった学者たちをキリストの元へと導いたとされる星です。

ベツレヘムはキリスト教の聖地であり、キリストの生誕地だと伝えられています。そして、クリスマスツリーのてっぺんで輝く星は、このベツレヘムの星を表すとされ、クリスマスには欠かせないものなのです。

このように、クリスマスに関連する様々な意味が込められている色や形が投影され、多くの人に愛され大切にされている植物がポインセチアです。

もちろん、日本においては、宗教的な意味合いでなく、クリスマスの装飾と捉える人が多いことは事実であるため、必ずしも宗教的な意味合いを理解する必要はないかもしれません。

ただ、多くの人に大切にされている美しい植物だということを知り、通年をともに過ごせる観葉植物として、クリスマス以降も育て続け、翌年のクリスマスには、再び赤い姿のポインセチアを楽しむのも素敵ではないでしょうか。

○ポインセチアのメキシコでの呼び名は「Nochebuena(ノチェブエナ/クリスマス・イヴ)」。
○宣教師がクリスマスカラーのポインセチアを見て、キリスト教の祭壇に飾るようになった。
○ポインセチアとクリスマスカラーの一致とキリスト教における色の意味 :
赤(苞)=神の愛や寛大さ 緑(葉)=永遠の命や力強さ 白(樹液)=純潔
○ポインセチアの葉の形が、ベツレヘムの星を連想させると言われている。
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ポインセチアの育て方

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは本題の、一年を通したポインセチアの育て方についてお伝えします。

管理環境

ポインセチアの管理環境は、日照条件や気温などに応じて判断します。

日照条件

ポインセチアは、光を好む植物です。日照が不足すると、緑色の下葉が落ちやすくなるため、積極的に光に当てます。ただ、ポインセチアを自宅に招く時季は、恐らく冬が多いでしょうから、そうした時季は室内の窓辺などで日に当て、決して屋外で日に当てないよう注意しましょう。

ポインセチアは寒さに弱い植物ですので、たっぷり日光浴させたくても、冬季、屋外で管理することは避けます。また、冬場に室内で日に当てる場合、窓辺が適していますが、夜間の窓辺は冷え込みが厳しいことも少なくありません。したがって、日中は良く日の当たる窓辺で管理して、夜間は窓から離して管理することが求められます。

一方、窓に引くカーテンが厚手であり、また、窓の断熱性能が高い場合など、夜気の影響を受けにくい場合はその限りではありません。住まいの環境に合わせて、ポインセチアを管理してください。

加えて、クリスマスに飾る真っ赤なポインセチアは、管理次第ではせっかく色づいた苞が、緑色に戻ってしまうこともあります。日中の日当たりが不足したり、夜間の照明が強すぎたりすると、必ずではありませんが、緑化することもあり得るでしょう。

また、春や夏は、屋外で管理することも可能ですが、暑さの厳しい時季の直射日光は、日光を好むポインセチアにとっても厳しいことがあるので注意が必要です。場合によっては葉やけを起こすこともあり、葉が傷んでしまうので、厳しい夏場の直射日光は避けます。

盛夏の直射日光は、葉焼けだけでなく、「芽とび」という、脇芽が生長しない状態の原因にもなるので注意が必要です。

○ポインセチアは日向で管理する。
○冬は室内の窓辺で日に十分当て、夜間は窓から離し低温に注意する。
○真夏の直射日光は避ける。

温度

繰り返しになりますが、ポインセチアは冬に流通の最盛期を迎える植物であるのに反して、寒さが苦手な植物です。したがって、特に冬季は温度管理に注意が必要です。

冬季、クリスマスを前にポインセチアを購入した場合は、すでに気温が低くなっていることが想定できます。したがって、管理場所は室内とし、最低でも10℃を保てる環境に置く必要があります。

また、前項と重複しますが、冬の夜間の窓辺や玄関等は、想像以上に温度が下がることがあるため、注意しましょう。そうした空間が、夜間、おおよそ何度になるのかを把握しておくことも、栽培に役立ちます。

水やりに問題がないのに、葉が萎れる、または、葉が黒ずむなどの症状が出る場合は、寒さが原因である可能性があるため、置き場所の変更を検討します。

加えて、ポインセチアは、寒い時季でなければ屋外で管理することも可能です。屋外管理を希望する場合は、秋頃、最低気温が15℃程度になったら室内へ取り込む必要がありますが、一方で、翌春、最低気温が安定して15℃程度になれば、屋外管理に切り替えられます。

冬、霜に当たれば、ポインセチアは高確率で枯れてしまい、また、厳しい北風や夜気にさらされることでも、弱ったり、傷んだり、枯れたりする可能性があります。冬場は、気温が10℃以上であれば、屋外でも耐えられるかもしれませんが、しかし、15℃を目安にして室内管理に切り替える方が確実で、ポインセチアにとっても優しい判断です。

なお、最低気温が15℃程度になるのは、9月から10月頃ですので、その頃になったら、ポインセチアを室内へ取り込みましょう。さらに、翌春、再び最低気温が15℃程度になるのは4月から5月頃です。

したがって、その年の気温によっても幅はありますが、ポインセチアを屋外管理できる期間は、おおよそ4月下旬頃から9月下旬頃までと言えます。

関連して、冬場、室内でポインセチアを管理する場合、暖かさを確保するために、エアコン等の暖房器具を使用することも考えられます。ただ、そうした場合、暖房器具から出る風や熱が、直接ポインセチアに当たらないよう注意します。

そうした、乾風や温風が当たり続けることでも、ポインセチアは傷み、多量に落葉し、枯れてしまうこともあります。

○9月下旬から4月下旬まで(秋冬から春にかけて)は屋内管理。
○4月下旬から9月下旬まで(春夏)は屋外管理も可能。
○15℃を目安に屋内管理、屋外管理を判断する。
○冬は室内で、最低でも10℃以上を保てる環境で管理する。
○冬の夜間、窓辺や玄関等の温度低下に注意する。

○暖房器具の熱や風が直接当たらない場所に置く。

水やり

ポインセチアは、比較的乾燥に強く、鉢土の過湿を嫌うため、やや乾かし気味に管理するよう意識すると、上手に育てられます。特に、購入したばかりである冬は、ポインセチアの生育が鈍っていることが通常です。したがって、長く見頃を楽しむためにも、乾かし気味の管理が適しています。

乾かし気味の管理は、具体的に、表土が乾いてから3~4日程度経過後に水やりするのが一般的です。また、表土が乾いた後、指を鉢土に挿し入れて、指の第一関節から第二間接の間くらいの土まで乾いていれば、水やりの適期だと言えるでしょう。

栽培環境によっては、表土の乾燥後、3~4日では水やりが早すぎることも、反対に遅すぎることもあります。環境によっては、1~2週間水やりをしなくても大丈夫なこともあります。

したがって、土に指を挿すのに抵抗がなければ、是非直接土を触って確認してみてください。実際に土を触ることで、水やりするべき土の状態が感覚としてつかみやすくなり、次第に指を挿さなくても、水やりをする間隔がわかってくるでしょう。

また、赤い苞の見頃を終え、翌春、新芽が発生するまでの間は、生育が止まることもあり、ますます水を必要としなくなることもあるため、その場合は特に乾かし気味の管理を心がけます。冬場に過湿気味になってしまう場合は、葉先がやや垂れるのを待ってからの水やりも可能ですが、水やりが遅すぎると株の負担になるため注意が必要です。

一方で、そうは言っても、ポインセチアが植物であることに変わりはないので、生きるために水は必須です。一般的には、生育が鈍る、止まる、と言われる時期であっても、室内の日向で管理することが多いため、栽培環境が十分に暖かいこともあり得ます。

したがって、一般的な情報を頼りにポインセチアの管理を決めつけず、それぞれの株の様子を注意深く見て、水やりの間隔を見つけましょう。それほど水やりは必要ないと決めつけ管理すると、想定外の水切れのために枯れてしまう可能性もないわけではありません。

冬に葉が萎れたり、多く落葉したりするとき、そのポインセチアが暖かい環境で管理され、さらに鉢土が乾いているならば、水を必要としているサインかもしれません。暖かい生育期と比べて、冬場はそれほど水を必要としないことは確かですが、大切なことは一つ一つの株を注意深く観察することです。

加えて、新芽が発生した後の暖かい時期は、ポインセチアも水を必要とします。ただ、過湿気味に育てたり、鉢土が濡れているのに水を与えたりする必要があるという意味ではありません。必要に応じて、冬場よりは水やり間隔を狭めます。

ポインセチアは乾かし気味に管理すると栽培が上手くいくのは先述の通りですが、それでも、水が嫌いなわけでは決してありません。したがって、必要なときにはたっぷりと水を与えます。

また、ポインセチアの水切れのサインはわかりやすく、水が不足すると葉が力なく垂れ下がります。そうなると、水切れを起こしているサインですので、そうなる前に水をやるよう心がけると良いです。一度の水切れで枯れることは少ないですが、それでも、水切れを繰り返すと、株の負担になることは間違いありません。

さらに、水切れによって変色した葉は、その後、元に戻ることなく落ちますし、垂れ下がってしまった葉も、元に戻らず、カラカラに乾いて縮れるようにして枯れてしまうことも多くあります。

ポインセチアに限らず、植物は一般的に、鉢土の短期的な乾燥と湿潤の繰り返しによって健全に育ちます。ポインセチアにおいても、過湿や極端な乾燥を避け、メリハリのある水やりを行うことで、健やかな生育に導くことが可能です。

○過湿を避け、乾かし気味に育てる。
○特に冬場は乾かし気味に育てる。
○表土が乾いてから3~4日後の水やりを基本とし、環境によって水やりの間隔を調整する。
○乾かし気味の管理を意識する一方で、極端な乾燥や水切れに注意する。

肥料

ポインセチアに肥料を与える時期は、主に二つに分けられます。また、それぞれ与える肥料の種類も異なります。まず、一つ目の期間である5月から7月にかけての春から夏には、液体肥料を月に1回程度与えましょう。

液体肥料を与える目安は月に1回ですが、ただ、与える液体肥料に記載されている施肥回数を守って、適宜増減して様子を見ても構いません。加えて、液体肥料の三要素比率ですが、窒素(N)=6、リン酸(P)=10、カリ(カリウム、K)=5、などを与えますが、その限りではありませんので、三要素等量の液肥でも問題ありません。

次に、二つ目の期間は8月から10月にかけての夏から秋です。この期間には、緩効性の化成肥料や置き肥を与えると良いでしょう。三要素比率は、窒素=10、リン酸=10、カリ=10、というように三要素等量のもので良いです。

施肥間隔は、化成肥料の場合は月に1回程度を目安にしますが、置き肥の場合は、もう少し低頻度で良いでしょう。詳しくは、使用する肥料の使用方法に従って、適宜増減して、様子を見てください。

肥料は、ポインセチアの生育や花つきを良くするためにも役立ちますが、多すぎる施肥は、株の負担になるため、施肥は多量、多頻度を避け、適量を与えるようにすると上手く管理できます。また、施肥後は、肥料焼けを起こさないかどうか、普段よりも少しだけ注意深く観察することも大切です。

なお、生育が鈍る冬季は、株は養分を必要としないため、施肥は一切行いません。水やりは控える程度で、一切行わないわけではありませんが、施肥の場合は控えめにするのではなく、まったく与えないようにします。

○春夏(5~7月)は、液体肥料(N:P:K=6:10:5)を月1回程度与える。
○夏秋(8~10月)は、緩効性の化成肥料や置き肥(N:P:K=10:10:10)を月1回程度与える。
○施肥の回数や頻度はあくまで目安。詳しくは使用する肥料の使用方法を順守する。

剪定(花後の赤い苞の管理)

ポインセチアは適切に剪定を行うことで、きれいな草姿を保ち、観葉植物としても一層魅力的なものとなります。また、次のクリスマスシーズンに、真っ赤に色づかせたポインセチアを飾ることを楽しみにしている場合にも、剪定は大切です。

ポインセチアの株が冬を越した3月から5月頃が、剪定の適期です。また、まだ寒い時期であっても、赤い苞や緑の葉が落ちたり、鮮やかさが失われたりして、鑑賞価値が著しく損なわれている場合には、適期を待たず剪定作業を行っても問題ありません。

開花後の株を剪定せずにそのまま育て続けると、株の上の方を中心とした新芽の発生が盛んになり、腰高でひょろひょろとした、見映えの悪い草姿になってしまいます。したがって、できるだけ、新芽の発生が盛んになる時期よりも前に、剪定を済ませましょう。

剪定を行うことで、株の上部だけでなく、株元などからも新芽の発生を促すことができ、ボリュームのある美しい草姿に仕立てることが可能です。剪定の際は、赤く色づいた部分をすべて取り除くようにして株全体を切り戻します。

すでに大部分の葉が落ちていて、赤と緑の境目がわかりにくい場合や、色づいた苞を切り取るだけよりもさらに小ぶりに仕立てたい場合は、株全体の1/3程度の大きさまで切り戻しても問題ありません。この場合、目安としては、枝の下から2~3節程度を残して切り戻すことでバランス良く仕立てられるでしょう。

なお、切り戻しを行った結果、葉がほとんどなくなったり、一枚もなくなったりする丸坊主の剪定になることもありますが、ポインセチアはきつめの剪定にも耐えるため、心配いりません。むしろ、剪定を行わない方が、その後の草姿のバランスや生育に悪影響を及ぼすため、剪定は積極的に行います。

加えて、新芽が発生する前に剪定を行うことは、旺盛な生育のためにも大切ですが、それだけでなく、早めに剪定を行うことで、「芽とび」を防ぐ効果もあります。盛夏の直射日光が、芽とびの原因になることは先述しましたが、同様に、遅すぎる剪定作業も芽とびの原因となるため、越冬後、早めの剪定を心がけましょう。

○剪定の適期は3月から5月。
○ポインセチア栽培において、剪定は積極的に行いたい作業の一つ。
○赤く色づいた部分を切り取るように切り戻す。
○場合によっては、もっと大胆に切り戻し、小ぶりに仕立てることも可能。
○適期になったら、早めの剪定を心がける。(場合によっては適期より前の剪定も可能。)

用土

植替えの際に使用する用土は、市販の観葉植物用土で構いませんが、水はけが悪いようであれば、砂や酸度調整済みピートモス、パーライトを配合するのも良い判断です。

また、自分で用土を配合する場合は、赤玉土=7、腐葉土=3を基本とし、必要に応じて酸度調整済みピートモスや、リン酸分が多めの化成肥料を元肥えとして少量加えても良いでしょう。

○ポインセチアの用土 ・・・ 市販の観葉植物用土 or 赤玉土:腐葉土=7:3

植替え

植替えの適期も、剪定の適期と同様に3月から5月頃です。順調な生育をしていれば、ポインセチアは比較的根の張りが良い植物です。したがって、定期的な植替えを行うことで、根に窮屈な思いをさせず、より良い生育が望めます。

また、植替えと剪定の二つの作業は、できるだけ同時か、あまり間を空けずに行うと、翌春以降のポインセチアの旺盛な生育を促すことができます。したがって、剪定を行い、その後、植替えを行うと、余計な枝葉がなくなり作業しやすいとともに、ポインセチアの生育にとっても良い流れを作ることができるでしょう。

ただ、剪定作業を1月から3月頃に、やや早めに行う場合は、植替えはもう少し暖かくなってからの方が、ポインセチアにとって優しいと言えます。

もともと、植替えの適期は、株が生育を始める頃であるため、株の生育が鈍っている時期の、早すぎる植替えは適していません。したがって、早めの剪定を行った場合は、新芽が動き始めてから、あるいは、その直前辺りでの植替えが適期です。

なお、植替えの際は、根鉢の下方1/3ほどを中心に優しくほぐしてから植替えます。植物によっては、根鉢を崩されることを嫌うものもありますが、ポインセチアの場合は、根鉢を少し崩して、古い土を1/3から半分程度落として植替えます。

根鉢を崩し古い土を落とすことは、ポインセチアにとって大切ですが、一方で、根に負担をかけないよう、作業は丁寧に行い、また、根鉢を必要以上に崩しすぎないよう注意することも大切です。

加えて、植替えの際に用意する新しい鉢は、それまでポインセチアが植わっていたものよりも、1回り程度大きいもの、直径にして3cm程度大きなものに植替えます。そして、植替え後は、十分に水やりをします。

○植替えの適期は3月から5月。
○剪定と併せて植替えも行うのが良い。
○植替えの際は根鉢を1/3程度優しく崩す。
○一回り(直径にして約3cm)大きな鉢に植替える。
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殖やし方

ポインセチアは、挿し木で殖やすことができます。他の植物の場合、剪定時に生じた枝を挿し穂として使用することが多いですが、ポインセチアの場合は、剪定の適期と挿し木の適期が異なるため、挿し木を行うときに、改めて挿し穂を用意する必要があります。

ポインセチアの挿し木の適期は6月頃です。したがって、この時期になったら、挿し穂にする枝を株から切り取ります。挿し穂に適した枝は、新芽のような若い部分です。挿し木する際は、まず、その年の春以降に発生した若い枝を、7cm程度の所で切り取ります。

次に、葉を先端から3~4枚残し、残りの下葉を落とします。また、先端に芽がある場合には、良く切れる刃物を使用して切り取っておきましょう。

なお、枝を切ったり、葉を落としたりする際、切り口や傷つけた部分から白い乳液状の樹液が出ますが、これは、発根の妨げになることもあり、挿し木の成功率を下げる要因にもなるため、きれいに水で洗い流します。

その後、挿し穂をピートモスやパーライト、あるいは市販の挿し木用土などに挿し、水をやれば作業は一旦終了です。発根までは20日から1か月近くを要するため、挿し床が乾かないよう、小まめに水やりや霧吹きをします。また、併せて葉水を行うのも効果的でしょう。そして、新芽が動き始めれば発根した証拠です。

発根したら、直径12~15cm程度の、4~5号鉢に植え直します。このとき、使用する用土は、市販の観葉植物用土で構いません。詳しくは用土の項を参照ください。根を傷つけないよう植えつけたら、挿し木の作業はすべて終了です。

加えて、そこからさらに1か月ほど育て、順調に生育しているようであれば、適当な所で切り戻しの剪定を行い、脇芽の発生を促します。

○ポインセチアは挿し木で殖やせる。
○ポインセチアの挿し木の適期は、6月。
○挿し穂には若い枝を使う。
○白い樹液は発根の妨げになるため、きれいに洗い流す。

乳白色の樹液に注意

ポインセチアは、乳白色の樹液を有しています。この樹液は、挿し木の際に発根の妨げになるだけでなく、人体に有害ですので取り扱いには注意が必要です。

体質によっては、白い樹液に触れると、肌がかぶれたり、荒れたり、かゆみが出たりすることがあります。また、当然、口にしてはいけません。したがって、小さなお子さんやペットが誤って触れたり口にしないよう、注意することも大切です。加えて、万一、樹液が肌についた場合は、すぐに流水で十分に洗い流します。

こうしたことから、樹液が多く出ることが想定される、剪定や植替えのときには、手袋を着用して作業することが求められます。人によっては、少量であれば素手で触っても、すぐに洗い流せば特に問題が起きない場合もありますが、そういう人であっても、きちんと対策を講じて作業に臨むことが賢明です。

○白い樹液は、人体に有害。
○素手で樹液に触れない、口にしない。
○万一樹液に触れたら、十分に水で洗い流す。
○剪定や植替えの際は、手袋を着用する。

短日処理

ポインセチアを育てる際、冬に赤く染めるために必要な作業が短日処理です。『ポインセチアについて/ポインセチアは「短日植物」』の項でもお伝えしましたが、ポインセチアは一日に12時間以上の暗闇に置かれないと花芽をつけないという性質があります。花が咲かないということは、すなわち苞が赤く色づかないことを意味します。

自然環境下では、だいたい10月頃からポインセチアが花芽をつけるのに適した日の長さになりますが、照明等の影響を受けやすい、暮らしの空間における栽培においては、人工的に12時間以上の暗闇を作り出す「短日処理」が必要となるのです。

さて、短日処理と言っても、決して難しい作業をしなければならないわけではありません。作業は単純で、9月の中旬か下旬頃から11月にかけて、40日(一か月半)程度、夕方5時頃から翌朝の8時頃まで、段ボール箱などをポインセチアに被せます。

そうすることで、強制的にポインセチアを暗闇に触れさせることができ、人工的に花芽の発生を促し、結果として苞を赤く色づかせることができるのです。

短日処理に使える物は、段ボール箱のほか、ごみ袋として使われるような黒い厚手のビニール袋など、遮光効果のあるものです。また、押し入れや収納部屋など、暗く、夜間に決して出入りしないとわかっているスペースであれば、そうした場所を短日処理用のスペースとして活用することもできます。

また、短日処理に段ボール箱を使用する場合、段ボール箱を隙間なく組み立て、しっかりとガムテープ等で固定して、光が入り込まないようにしましょう。

さらに、短日処理を行う時期は、屋外の気温が下がり始める時期でもあるため、基本的に屋外での管理、及び短日処理は行わないのが一般的です。もしも、屋外の自然条件下で暗闇に触れさせようとする場合は、街灯や外灯の明かりが届かないか、きちんと確認する必要があります。

ただ、繰り返しになりますが、屋外管理であっても明かりに触れてしまう機会は多く、また、この時期の屋外はポインセチアには低温すぎる可能性も高いため、やはり室内での短日処理が現実的かもしれません。

関連して、押し入れや収納等でポインセチアの短日処理をする場合も、そうした空間が夜間など、低温にならないかどうかを確認しておくことも求められます。万が一10℃を保てないような環境であれば、暗闇を作り出せる空間であっても、ポインセチアの短日処理には不向きです。

なお、ポインセチアを、暖かい期間屋外で育てる場合は、室内に取り込む9月から10月頃が、短日処理を開始する適期と重なるため、取り込み作業と短日処理の開始を併せて行うと良いのではないでしょうか。

また、短日処理は9月から11月にかけて、40日間ほど続けることは先に述べた通りですが、余力があれば完全に苞が色づくまで続けた方が確実です。もちろん、40日の間で完全に色づいていれば、その時点で短日処理を終えて問題ありません。

加えて、ポインセチアは、比較的厳密な短日処理が求められる植物です。したがって、短日処理期間中に、万が一処理を施すのを一日忘れてしまった場合には、40日間の短日処理をまた一からやり直さなければならない可能性もあります。

こう書くと、ひどく面倒な作業に思えるかもしれませんが、反対に言えば、この単純な作業さえこなせば、苞はきちんと赤く色づきます。つまり、短日処理そのものの難易度は低く、成功率の高い作業なのです。やや面倒に感じることもあるかもしれませんが、根気良く続けた後の真っ赤な姿は格別です。

最後に、短日処理について、もう一つだけ大切なポイントをお伝えします。短日処理は暗闇に触れさせる作業ですが、一方で、朝の8時から夕方の5時までの短日処理中以外の明るい時間帯は、きちんと日に当てるよう管理してください。明るい時間にたっぷりの日射しを浴びることも、色鮮やかな苞に仕上げる大切なポイントです。

○9月の中旬から下旬にかけて短日処理を始める。
○短日処理を行う期間は40日程度。(完全に苞が色づくまで行うとより確実。)
○夕方5時から翌朝8時まで、段ボール箱等をポインセチアに被せ、一切の光を遮り、人工的に暗闇を作る。
○日中は、日射しによく当てる。

来年のクリスマスも同じポインセチアで

冬、クリスマスを中心に暮らしに彩りをもたらしてくれる真っ赤な植物、ポインセチア。来年のクリスマスは、自分で育て、再び真っ赤に仕立てたポインセチアを飾ってみるのも素敵ではないでしょうか。

毎年、生産者の手で美しく色づけられたポインセチアを購入して飾るのも素敵なひと時ですが、前年に購入したポインセチアをそのまま育て続け、さらには自らの手で真っ赤に色づけて飾る瞬間は、より一層素晴らしく、魅力的です。ですから、今年のポインセチアを大切に育て、是非、来年も飾ってみませんか。

加えて、ポインセチアの魅力はクリスマス時季だけにとどまりません。言い換えれば、ポインセチアは、クリスマスシーズンのためだけに一年間育て続けなくてはならない植物ではないのです。

苞が赤くない時期でも、ポインセチアはその樹形や鮮やかな緑色の葉で、十分に私たちの目を楽しませてくれます。つまり、ポインセチアは観葉植物としての鑑賞価値を有し、観葉植物として扱われるに十分耐え得る植物です。例えば、新芽の愛おしさは、育てた人にしか感じられないものの一つかもしれません。

最後になりますが、真っ赤に色づいているときも、緑が美しいときも、格好の良い樹形や葉の形も、そのすべてがポインセチアの魅力です。ポインセチアという素敵な観葉植物を育て、クリスマスシーズンには、ともに喜ぶように赤く染まる姿を再び愛でれば、きっと、その瞬間がゆとりの時間となるでしょう。

まとめ:一年中楽しめる植物「ポインセチア」

ポインセチアは、クリスマスに欠かせない植物として、私たちの暮らしにも馴染みのある植物です。クリスマスとポインセチアとの深い関係は、ポインセチアが有する色合いや葉の形などに由来します。また、その名前は、ポインセチアをアメリカに持ち込み、世界的な普及のきっかけをつくったポインセット氏の名前に由来します。

クリスマスシーズンにのみ飾られ、シーズンを終えると処分されることも少なくないポインセチアですが、ポインセチアは本来、常緑性の低木であり、その年限りで枯れてしまう一年草ではありません。

したがって、ポインセチアはクリスマス以降も観葉植物として育てることができ、翌シーズンも短日処理を施すことで、赤く色づけることができます。

また、ポインセチアの性質上、栽培がやや難しいと思う人もいるかもしれませんが、寒さが苦手なポインセチアのために、冬場の低温に気をつけ、やや乾かし気味に管理することで上手に育てられるでしょう。

四季をともに過ごし、その美しい姿で暮らしに彩りを運んでくれ、年末には鮮やかな色彩を再びもたらしてくれる素敵なポインセチア。是非、育ててみてはいかがでしょうか。