【クリスマスエリカ】魅力・育て方~プレゼントにもおすすめの植物~

寒い季節、縮こまりがちな体や心をほどき、ゆとりをもたらしてくれる、そんな優しい力が植物にはあります。可憐でありながら凛とした佇まいが印象的なクリスマスエリカ。それはまさに、冬からの贈り物といえるでしょう。

自分自身のお気に入りとして日々の暮らしに迎え入れることも、大切な人へのプレゼントとして贈ることもできる植物「クリスマスエリカ」をご紹介します。

クリスマスエリカについて

クリスマスエリカは、ツツジ科のスズランエリカという種類の植物です。
山梨県内でのみ栽培される山梨のブランドフラワーであり、クリスマス絵梨花と表記されることもあります。栽培地が限られていることから、クリスマスエリカは希少な植物としても知られています。

そもそもエリカという植物は南アフリカが原産であり、春ごろに花を咲かせることが一般的です。
一方で、クリスマスエリカはその名のとおり、クリスマス時期に合わせて開花するという大きな特徴があります。

クリスマスエリカも、南アフリカ原産のエリカの一種ですが、山梨の高冷地特有の気候を活かして栽培することで、11月ごろからの3か月ほどの間、可憐なスズランのような花を楽しむことができるよう育てられているのです。
つまり、クリスマスエリカは、山梨の気候の特徴と、生産者の創意工夫によって誕生した、冬を彩る植物だといえるでしょう。

クリスマスエリカの特徴は、冬に訪れる開花時期だけではなく、そのクリスマスらしい樹形にもあります。クリスマスエリカの立ち姿は、生産者の手によって美しいクリスマスツリーのように仕立てられているのです。

そんなツリー仕立ての樹形に、直径わずか3~4mmほどの真っ白な花がいくつも咲くと、さながら小雪がちらつく日の凛としたクリスマスツリーのように映ります。

○山梨県内でのみ栽培される、山梨のブランドフラワー。
○クリスマス時期を中心に、3か月ほど花が咲く。
○可憐な花とツリー仕立ての樹形が魅力。

クリスマスエリカの育て方

その名前から、真冬の植物というイメージを持たれることの多いクリスマスエリカですが、性質や育て方は一般的なエリカと似た点が多いといえます。また、クリスマスを冠したエリカではありますが、耐寒性が非常に優れた植物というわけではありません。ただ、基本的な管理さえ行えば、育てるのがそれほど難しい植物というわけでもありません。

生育環境(温度と日照)

クリスマス時期を中心に、冬季、店頭に並ぶことが多いクリスマスエリカは、比較的冷涼な環境を好みます。したがって、関東以南などの暖地であれば、冬場でも屋外で育てることができます。ただ、夜間など、最低気温が0℃を下回るようなときには室内に移動させる必要があります。

また、屋外で管理している場合は、霜や雪に当てないよう注意することも大切です。こうしたことから、冷涼な環境を好むクリスマスエリカですが、一方で、冬の屋外の厳しい寒さには耐えられないこともあります。

寒冷地でクリスマスエリカを育てる場合、冬場は室内で鑑賞するのが安心です。置き場所は暖房が効いていない涼しい場所が適しています。また、窓辺など、日に当たる所で管理することが好ましいでしょう。

しかし、出窓などのカーテンと窓の間や、極端に窓に近い所では、夜間の温度が思った以上に低下することも少なくありません。予想外の温度低下でクリスマスエリカが枯れてしまわないよう、日中は日の当たる窓辺に、夜間は窓からやや距離をとった所で管理すると安心です。

クリスマスエリカの生育適温は0℃前後と比較的低いため、氷点下の環境や霜などに注意すれば、屋外で越冬することも可能です。ただ、心配であれば、冬場の夜間は室内に取り込む方が、枯らしてしまう要因を減らすことができるでしょう。

春から秋にかけては、日当たりの良い屋外で管理しますが、夏場など、日射しが強すぎるときには、午前中は日に当たり、午後は日陰になるような、できるだけ涼しい半日陰の環境に置くことが、クリスマスエリカにとっては心地良いといえます。

水やり

クリスマスエリカは乾燥が苦手な植物です。そのため、特に水を必要とする花期や、鉢土の水分が乾きやすい夏場は水切れを起こさないよう小まめな水やりが大切です。

一方で、鉢土の湿った状態が続くのも植物にとっては負担であり、根腐れなどによる枯れの原因ともなります。したがって、1日1回や週1回の水やりというように考えるのではなく、株や鉢土の様子を観察して、適切に水を与えることが求められます。

水やりは、鉢土の表面が乾いたときに、鉢底穴から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。鉢土の乾きが遅く、過湿状態が続くことが心配な場合には、鉢土に指を挿し入れてみるのもひとつの方法です。

指の第一関節ほどのあたりまで土が乾いていたら、水をやる必要があるといえるため、直接土を触るのもわかりやすい目安になります。水やりの際は、クリスマスエリカの株もとに水を与え、枝葉や花の上から降り注ぐようにやらないよう気をつけてください。

お手入れ(剪定と植え替え)

花が咲き終わったら、手で優しくはらうことで花柄を取り除くことができます。生育に伴い、枝が伸びてツリー仕立ての樹形が乱れてきたら、花がすべて終わったころに剪定をします。

このとき、クリスマスツリーのような円錐状に形を整えることで、1年を通してきれいなツリーの形を保ち、楽しむことが可能です。また、クリスマスエリカの樹高は20~60cmほどが一般的ですが、生育環境によってはそれ以上に生長することもあります。

クリスマスエリカは、枝や葉が密生する特徴があるため、夏場などは蒸れが原因で病気になってしまうこともあります。したがって、枝を間引き、蒸れを防止することも剪定の際には心がけると良いでしょう。加えて、夏場は屋外の風通しの良い場所で管理することも大切なポイントです。

クリスマスエリカの生長に合わせ、花を終えた春頃ごろに一回り大きな鉢に植え替えると、根が窮屈な思いをせず、より活発な生長を促すことができます。クリスマスエリカは、水はけが良く、pHが酸性に傾いた用土を好むため、酸性の鉢植え用土を園芸店やホームセンターなどで買い求めると植え替え作業が簡単です。

こうした一連のお手入れ作業は、遅くとも6月下旬までには終わらせておく必要があります。適期を逸した作業は、生長に良くない影響を与えることもあるため注意が必要です。花を終えてから夏の暑さが本格的になる前までにお手入れをすることで、クリスマスエリカへの負担を抑えられるでしょう。

補足ですが、植え替えの際や日常の水やりには、メネデールの使用も効果的です。下記の記事も参考にして頂ければ幸いです。

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肥料

花が終わったら、夏までに緩効性の置肥を与えます。長期間の開花で消耗した体力を回復させるようなイメージで、肥料は花が咲いていないときにやるようにしましょう。

クリスマスエリカが花を咲かせるための準備を始める、晩夏から秋にかけての時期に肥料を与えると、花が咲かなかったり開花が遅れたりすることもあるため施肥を行う時期の判断も大切です。

開花時期の注意点

※上の画像は一般的なエリカです。クリスマスエリカではありません。

クリスマスエリカは、生産者による特別な栽培方法によって開花時期を促進し、クリスマス時期に花が咲くよう調整されています。そのため、冬季の購入時には花が咲いていることが通常ですが、次の年からは本来のエリカ属の開花時期である3月ごろに花をつけます。

クリスマスに花を楽しめるのは最初の年だけではありますが、春に花開く姿も見る人の心に寄り添う美しさがあり、違った魅力が楽しめるでしょう。

○冷涼な環境を好む。
○氷点下の環境や霜、雪の当たる場所で管理しない。
○乾燥が苦手なため、水切れを起こさないよう適切に水やりを行う。
○夏までに剪定、植え替え、施肥を行う。
○購入の翌年からは春ごろに開花する。

クリスマスエリカが購入できる場所

クリスマスエリカの流通量は決して多くありません。一部の園芸店で見られることもありますが、その数は少ないことが一般的であるため、すぐに売り切れてしまうことも多いでしょう。

店頭で見つけられない場合は、インターネット通販で販売されていることもあるため、そうした販売サイトを利用するのも一つの方法です。ただ、予約分だけで完売となってしまうこともあるため、クリスマスエリカの季節が近づいてきたら、早めに問い合わせるのが安心です。

クリスマスエリカがある空間

冬の清らかな寒さのなか、クリスマスエリカはやってきます。明るい冬空の下はもとより、寒さがいっそう身に沁みる少々暗い日にあっても、クリスマスエリカは見事に映えることでしょう。寒さのなかに澄んだ冬の清々しさを感じさせてくれるのもクリスマスエリカの魅力です。

冬場、クリスマスエリカを室内で管理する際は、玄関など涼しい所が好ましいですが、夜の団らんの時間に花を添えてほしいときには、暖房の風が直接当たらない場所に置くなど、乾燥や暑さに配慮すると良いでしょう。

月が明るい夜や控えめな照明の下でもクリスマスエリカは美しく、クリスマスエリカの鑑賞は穏やかな冬の夜の楽しみとなるでしょう。寒い季節、明るすぎない柔らかな部屋で、温かい飲み物を飲みながら眺めるクリスマスエリカの可憐な姿は格別です。

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大切な人への贈り物にも

クリスマスエリカは、冬の贈り物やクリスマスプレゼントにもぴったりです。特に、植物好きの人にプレゼントするなら、クリスマスエリカはおすすめです。希少品種であるだけではなく、生産者の創意工夫が詰まったクリスマスエリカなら、植物好きの人にも喜んでもらえることでしょう。

また、普段植物を育てていない人への贈り物であっても、たくさんの細かな葉と小さな花が、丸みのある温かい雰囲気を運んでくれるため、送り主の思いがきっと伝わるプレゼントになるのではないでしょうか。

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まとめ:冬に温かく心に灯るクリスマスエリカ

山梨県のブランドフラワーであり、希少品種のクリスマスエリカ。クリスマスツリーのように仕立てられた樹形に咲く可憐な白い花は、まるで小雪が舞う冬の情景を切り取ったような美しさです。寒い季節に温かな時間を過ごすお供にぴったりなクリスマスエリカは、大切な人への贈り物にも最適です。