【アボカド】発芽後の育て方~すくすく生長させるために~

今や食卓にのぼる機会も多いアボカド。そんなアボカドですが、実は調理の際に出た種を活用して、観葉植物として育てることができます。種を栽培する方法を別記事でお伝えしましたので、今回はそれに関連して、その後の詳しい育て方を紹介します。

アボカドを観葉植物として育てることは決して難しくなく、基本を押さえることで、立派な姿に成長させることができます。アボカドは比較的丈夫な植物です。鉢植えの場合は、室内でもベランダなどの屋外でも育てることができ、地域によっては露地植えによる栽培も可能です。

すでに種を育て始めている人にも、もう発芽したという人にも、そして、まだアボカド栽培についてあまり知らないという人にも、今後、皆さんのアボカド栽培がより豊かなものになるよう、この記事を役立てて頂ければ幸いです。では、発芽後のアボカドの順調な生長を促す育て方のお話を始めます。

※発芽以前の、種を育て始める方法をまずお知りになりたい場合は、下記記事を参照ください。

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アボカドについて

アボカドは、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸を結ぶ地域である中央アメリカが原産の常緑高木で、原産地に自生する木では、30mを越える高さにまで成長しするものもあります。

私たちの食卓を彩ってくれる、アボカドの果実を生産するために栽培されている木では、そこまで大きく生長しないことも多いですが、それでも20m以上の高さになる場合があります。

そう聞くと、そんなに大きな植物はとても暮らしの空間では育てられないと思う人もいるかもしれませんが、家庭で観葉植物として育てる場合は、そこまでは生長しないため心配いりません。それでも、育てようと思えば自生地のアボカドほどではありませんが、ぐんぐんと大きくなるため、迫力のある姿も楽しめます。

○アボカド : 中央アメリカ原産の常緑高木。
○暮らしの空間に合わせたサイズにも、迫力のある大きさにも育てられる。

観葉植物「アボカド」の魅力

アボカドの大きな魅力の一つに、種を捨てずに活用して、自らの手で観葉植物を一から育てられる点が挙げられます。このことから、普通は捨ててしまうことの多い種を発芽させられることがアボカド最大の魅力だと思われがちですが、実はアボカドの魅力はそれだけにとどまりません。

例えばアボカドは、観葉植物に足る、立派な葉を持っています。新芽のみずみずしい美しさはもちろんですが、ある程度生長した株の葉は、人の手の大きさを優に超える長さになり、見る人の目を楽しませてくれます。

大きく生長する姿や葉は存在感があるため、同一の空間でいくつか観葉植物を育てている場合は、空間の中心的な鉢としてアボカドを据えることも可能です。

複数の観葉植物をインテリアに溶け込ませる場合は、背の高いものや低いもの、広がりのあるものや直線的な印象があるものなどを織り交ぜて配置することで、より美しく空間を彩ることができます。

そして、アボカドは、幼木のうちは背の低い植物として、生長してからは空間のシンボル、あるいはアイキャッチとしての役割も果たしてくれるでしょう。さらに、剪定の仕方によって、比較的直線的な仕立てにすることも、または、広がりがあり、ボリュームのある姿に仕立てることもできます。

このように、生長の過程や剪定の仕方によって、様々な魅力を見せてくれるのもアボカドの魅力だと言えるでしょう。大きく、立派に、存在感のある姿に成長させることができるアボカドを、空間に彩りや豊かな広がりを感じさせるシンボリックな観葉植物として据えることを目指して、一から育てるのも素敵ではないでしょうか。

なお、アボカドの鑑賞価値を示す上で比較できる植物に、パキラが挙げられます。実は、パキラの葉とアボカドの葉には、似た所があるのです。もちろん全く同じというわけではありませんし、樹形や葉のつき方にも異なる点はあります。

しかし、すでに観葉植物として人気があり、すっかり定着しているパキラと少なからず葉が似ているという点は、アボカドの葉の魅力や鑑賞価値をお伝えする上で、わかりやすい例になるのではないでしょうか。

加えて、アボカドが大きく生長するまでの間、その根元で支え続ける種が表土に見えているのも、アボカドならではの面白みです。

いつかはその役目を果たし、土に還るようにしてなくなる種が、ころんと株元にある姿は、立派に生長する姿とは対照的な可愛らしさもあり、思わず発芽した頃の愛らしさを思い出します。また、これから大きくなるぞ、と言うような、力の源のようにも見え、頼もしくも感じられるのが表土にちらっと見える種の不思議な魅力です。

○アボカドは一から自分の手で育てられる観葉植物。
○大きく迫力のある葉は、人の手より大きく生長することも。
○生長する段階、剪定の具合で、様々なバリエーションの配置ができ、インテリア性にも富む。
○すでに人気のある観葉植物「パキラ」に、葉が似ている印象がある。

アボカドの新芽

アボカドを育てていて嬉しいと感じる瞬間の一つに、新芽を見つけたときが挙げられます。もちろん、アボカドに限らず、植物の新芽を見つけたときは一様に嬉しいものですが、アボカドの新芽には、特に、力強さや美しさが感じられ、今後の生長や明るい展望が見られるような、そんな喜びに満ちているのです。

いくつかの新芽が一つに重なり合うようにして結ばれた新芽の固まりが、徐々に広がってゆく様は、何とも言えない素晴らしさがあります。

○力強くみずみずしい新芽の美しさも、アボカドを育てる魅力。

アボカドの花

アボカドを育てていると、アボカドの花を見られる機会にも巡り合うかもしれません。栽培を始めてすぐに開花するわけではなく、環境や育て方によっては花が咲かないこともあります。それでも、観葉植物として暮らしの空間で育てているからと言って、必ずしも花が咲かないというわけでもありません。

アボカドを観葉植物として育てる場合、アボカドの実を収穫することはアボカドの特質上、期待することはできないため、開花しても結実するわけではありません。しかし、それでも、育てている以上は、アボカドに何か変化が起きれば、特に、開花といった生長を実感できるような変化であれば、なおのこと、喜びを禁じ得ないでしょう。

また、アボカドの花は非常に魅力的な姿をしています。花の色は黄色や、白味がかった薄い黄色で、花の一つ一つは小さいですが、房状に花芽をつけてたくさんの花を咲かせます。様々な方向へ伸びる枝先に、たくさんの花をつける様子は、線香花火の明滅のようにも見えるかもしれません。

さらに、開いた花は美しく、6枚の花弁の広がりは非常に均整がとれた姿をしています。そして、それぞれの花弁の上には等間隔に6本の雄しべがあり、その中心には雌しべがあります。全体的には白色で、所々薄らとした緑色も感じられる花ですが、その中心は実に美しい黄色です。この、アボカドの花に鮮やかな色を添える器官が蜜腺です。

このように、等間隔に広がり、均整のとれた花弁と雄しべの姿が相まって、花は美しい六角形で、さながら暖かい季節に咲く雪の結晶のようにも見えます。

加えて、離れて見た様子と、近くで一つ一つの花をじっくり見た様子とでは、異なる印象を持つのがアボカドの花の面白みです。なお、温かみのある姿と、それでいて凛とした美しさがある、そんな美しいアボカドの花の季節は5月頃です。

関連して、剪定によって、樹勢を斜め上方向や横方向へ向けることで、花つきが良くなることもあります。花を楽しみたいという場合は、こうした剪定も併せて行うことで、花を観賞できる機会をぐっと引き寄せられるとも言えます。

○アボカドの花を観賞できることもある。
○アボカドの花期は5月頃。
○小さな黄色い花をたくさん咲かせる。
○一つ一つの花は均整のとれた形をしていて美しい。
○樹勢を斜め上や横へ向ける剪定によって、花つきが良くなることも。

アボカドの育て方

発芽後の幼木から、ある程度大きく生長した株までの育て方を紹介します。

日照

アボカドは光を好む植物です。したがって、日当たりの良い場所で管理するのが適しています。また、鉢植えは、冬季を除いて屋外でも管理できます。室内で育てる場合は、できるだけ窓の近くに置くなど、日光が当たる環境を見つけてあげると良いでしょう。

基本的には日射しに強い植物ですが、幼木であったり、光に慣れていない株であったりすると、突然太陽の下に出すことで葉焼けを起こすこともあります。それでも、枯れることは少ないですが、日射しに当てる際は、徐々に慣らしてからの方が、アボカドにとって優しいでしょう。

こうしたことから、夏に入ってから屋外の直射日光に突然さらすことはせず、春の穏やかな日に、徐々に日向に置くようにするのが望ましいです。

加えて、室内で管理する場合は、日照不足になりやすいので、注意が必要です。窓から入る光は、床面など、低い所には当たりやすいですが、空間の高い所には当たらないことも少なくありません。したがって、大きく生長した株では、上の方の葉に光が届かないという事態も十分に想定できます。そのため、葉が驚かない程度に時々日光浴をさせるのも一つです。

関連して、アボカドは光の方向へ茎や枝、新芽を伸ばす傾向が顕著です。そのため、特に室内で管理する場合は、バランス良く株を育てるため、時々鉢を回転させて、均等に光が当たるようにすると良いでしょう。

幼木やまだ小さい株では、特にこの傾向が強く、光に向けて大きく曲がってしまうこともあるため、株が小さいうちはなおのこと、鉢を回転させながら管理すると良いかもしれません。一方で、仮に茎が曲がってしまったとしても、早いうちであれば、光の当たる方向を調整することで、またまっすぐに伸びることも多いので、対応が早ければそれほど心配いりません。

温度

アボカドの生育温度は15~33℃程度です。アボカドの原産地である中米は、常夏や常春の環境下にある地域も多く、こうしたことから、アボカドは、比較的過ごしやすい暖かな気候を好むことがわかります。

また、中米では、朝晩の寒暖差が大きい地域が少なくないことも特徴です。したがって、アボカドは多少の寒さになら耐えられると言えます。しかし、そうは言っても、中米の寒さは低くても5~10℃前後で、また、多くの場所では気温がそれほどは下がらず、最低気温は年間を通じて20℃以上ということの方が一般的です。

このように、アボカドは耐暑性と比べると耐寒性が劣ることがわかります。日本のなかでも、関東以南など、温暖な地域であれば、年間を通して屋外で管理できる場合もありますが、冬季は10℃程度になったら室内に取り込んだ方が安心です。遅くとも、5℃を下回らないうちには取り込んだ方が良いでしょう。

一方で、通年を室内で管理する場合は、極端に室温が低下する環境を除けば、温度についてそれほど心配する必要はありません。加えて、翌春、屋外管理に切り替える際は、最低気温が安定して二桁台になるのを待ってからにすると安心です。

ただ、非常に暖かい室内で管理していた場合、屋外との温度差があまりに大きいと、株に負担をかけかねません。そのため、冬季に暖かい室内で育てていた場合は、最低気温がアボカドの生育温度である15℃程度になるまで待ってからの方が安心と言えるでしょう。

越冬

温度の項と重複する部分もありますが、アボカドの越冬には、気温が大きくかかわります。比較的温暖な地域であれば、屋外でアボカドを管理したままで冬を越せることもありますが、基本的にアボカドは耐寒性の低い植物です。

そのため、確実な越冬を望み、鉢の移動が可能である場合は、冬季の気温が5~10℃程度に下がったら、室内に取り込むことで安心して越冬ができます。

ただ、アボカドは本来、成木であれば氷点下5℃程度までなら耐えられる場合もあります。幼木のうちは5℃くらいで室内に取り込んだ方が安心ですが、成木であれば、もう少し様子を見ることもでき、場合によっては戸外での越冬も可能です。しかしながら、そうは言っても、心配な場合や、株が容易に移動させられる大きさの場合は、室内で越冬させる方が確実です。

特に、霜が降りる時季や、北風といった厳しい寒風にさらされるような環境では注意が必要で、そうした場所ではできるだけ早く室内に取り込んだ方が良いでしょう。幼木や、まだ大きく生長していない株であればなおさらです。霜に当たれば、枯れてしまう可能性は高いため、霜の時季よりも早く、室内に取り込むことが望ましいと言えます。

加えて、冬を越すことに限らず、できるだけ季節の変化に対応できる株に育てるため、屋外で管理する株は厳しい季節よりも前の段階から外気に触れさせておくことが大切です。一方で、通年を室内で管理するのであれば、極端に室温が低下する場合を除いて、越冬についてそれほど神経質になる必要はありません。

水やり

アボカドは水を好む植物です。特に生育期には鉢土が乾きやすいため、水切れを起こさないよう管理することが大切です。一方で、鉢土が常に湿った状態で管理するのは良くありません。したがって、表土が乾いてから水やりを行うのが適しています。

こうした点は、ほかの一般的な観葉植物と大きく変わりません。また、鉢土や表土が乾くまでの時間が長く感じられる場合や、過湿気味だと感じられる場合には、もうしばらく鉢土が乾いてから水やりを行います。

この場合、表土が乾いてから鉢土に指を差し入れて、第一関節から第二間接辺りの土までが乾いたのを確認してから水やりをするのも良いでしょう。

一方で、水切れや、過湿による根腐れを心配しなければならないのはアボカドに限ったことではありません。したがって、自分が育てる株を観察して、適当な水やりの間隔がつかめれば、水やりについてそれほど神経質になる必要はないと言えます。

アボカドは比較的丈夫な植物です。ゆとりのある気持ちで観察をしていれば、それほど難しいことはなく、水やりをするタイミングがわかってくるでしょう。

加えて、アボカドが水を欲しているサインはわかりやすく、水が足りないと葉が垂れてくるので、そうなったら確実に水を与えます。そうすれば極端な水切れを起こすことはありません。ただ、あまりにも葉が萎れて、力なく垂れるまで水やりをしないのは、株の負担になるので避けるべきです。

こうしたことから、できるだけ葉がやや垂れ始める前のタイミングを見計らって水を与えるのが望ましいと言えます。なお、過湿気味であったり、土がなかなか乾かない場合は、葉がやや垂れるまで水やりを控えて様子を見るのも一つの方法でしょう。

肥料

アボカドは大きく生長する植物ですが、必ずしも肥料をやらなければならないわけではありません。ただ、生長期や開花期には、肥料を与えることで、株が充実するのも事実です。

施肥する場合は、春や秋に緩効性の置き肥をします。ただ、それほどたくさん与える必要はなく、どちらかと言えば控えめに施すと良いでしょう。肥料の量に迷う場合は、使用する肥料の規定量に従います。

置き肥は、窒素、リン酸、カリの三要素がバランス良く配合されているものを選ぶと良いでしょう。また、リン酸が少々多めのものでも構いません。

支柱立て

アボカドの茎が細く、倒れたり折れたりする心配がある場合は支柱を立てます。

まだ背が低い幼木の頃は、自重で傾いたり倒れたりすることは少ないかもしれないですが、成木と比べれば茎が非常に細いです。したがって、屋内管理で、特に折れる心配がない場合は良いかもしれませんが、屋外で風などの影響を受けやすい場合は、幼木の頃から支柱を立てると安心です。

また、幼木のうちから支柱を立てることで、光の方へ伸びやすいアボカドを真っ直ぐ育てることにも役立つでしょう。絶対ではありませんが、必要に応じて支柱を立てるのも一つです。

成木の場合、茎が太くなり、また、木質化して茎が硬く丈夫になってきますが、それでも自重で傾いたり倒れたりすることは少なくありません。そうした場合も、適宜、支柱を立てると良いでしょう。

支柱を立てる際は、支柱と茎を麻ひもなどで結びます。このとき、8の字を描くようにしてひもを結ぶことで、茎をきつく締めつけず、負担をかけずに結ぶことができます。なお、茎側はゆとりがあって良いですが、支柱側はしっかりと結びつけ、ずれ落ちないよう固定しましょう。

剪定

アボカドは本来、大木へと成長する植物です。そのため、家庭で育てる場合は、環境に則した剪定が必要になります。また、剪定を施すことで、バランスのとれた、美しい樹形に導くことも可能です。一方で、アボカドは基本的に自然樹形で栽培するため、特別な剪定の技術や、難しい剪定をしなくてはならないというわけではありません。

剪定と言うと、アボカドがある程度大きくなってから行うイメージを持つ人もいるかもしれませんが、成木、幼木を問わず行うことが可能です。

例えば、幼木であっても、表土からの高さが30~40cm程度になったら摘芯を行い、側枝を豊富にすることでバランスのとれた樹形に導くことができます。せっかく育った幼木の頂芽を摘み取るのは何となくかわいそうで、少々気が引けるかもしれませんが、後々のアボカドの木のことを思えば、決してかわいそうなことではありません。

もちろん、摘芯は絶対ではないので、行わずに一本の茎を高く育てても良いですが、その分、ひょろっとした印象になり、茂った葉の重みで倒れやすい株に生長することが多いかもしれません。

こうしたことから、幼木のうちは、枝を切り詰める剪定を繰り返し行い、側枝が豊富に出るよう育てます。そして、成木になってからは、側枝を豊富に出すことよりも、風通しや日当たりを良くするために、混み合った枝を間引くような感覚で剪定すると良いでしょう。

ちなみに、幼木と成木には明確な境界線がなく、いつまでが幼木でいつからが成木かははっきりと定義できません。ただ、植えつけ後2~3年程度までを幼木と捉えることが多いようです。したがって、アボカド栽培においても、おおむね3年程度までの若木を幼木と考えて良いでしょう。

加えて、摘芯や剪定によって、脇芽を出し、側枝を増やすのは大切ですが、一方で、ひこばえが発生した場合は、アボカドの健やかな生長を考え、摘み取ります。ひこばえと言うのは、木の根元付近から発生する芽のことを指し、一般的に樹勢を衰退させる原因になると言われています。したがって、新芽の発生自体は喜ばしいのですが、ただ、ひこばえの場合は、早めに摘み取るのが無難だと言えるでしょう。

なお、縦方向への樹勢が盛んなアボカドですが、剪定を行うことで、枝の生長を斜め上や、やや横方向へ向けることで、花つきが良くなると言われています。こうしたことから、樹形や木の健康を保つためにも大切な剪定ですが、花を楽しむための一工夫としても役立ちます。

以上のような剪定作業の適期は、3~5月頃です。取り分け、寒い時期や暑い時期の剪定は、株の負担になるため避けた方が安心です。

植替え

アボカドは大きく生長する植物ですので、生長に応じて1~2年に1回程度の間隔で植替えを行います。植替えをすることで根が生長する空間を広げ、同時に根腐れを防ぎます。また、植替え作業の適期は、5~6月頃です。

植替えの手順は一般的な観葉植物と変わりませんが、アボカドの根は繊細であるため、できるだけ傷つけず、負担を最小限に抑えられるよう、丁寧に作業しましょう。

アボカドには、中心に太い根である主根があり、それがいくつかに分かれ、そこからさらに側根が発生します。したがって、主根を折らないよう注意するのはもちろんですが、細い根もあまり傷つけないよう、できるだけ根鉢を崩さないようにして植替えを行います。

こうしたことから、根鉢を触るときは、根鉢の肩の部分や周りの土を軽く落とす程度にすると良いでしょう。

また、新たに植替える鉢は、それまでのものよりも1~2回り程度大きなものを選びます。加えて、使用する用土は、市販の観葉植物用土で構いません。自分で配合する場合は、水はけの良い、弱酸性の土質になるよう調合します。

一方で、アボカドをあまり大きくしないように育てたい場合は、鉢の大きさを変えずに植替えることも可能です。鉢の大きさを変えない場合も、土を新しくして、株の健やかな生長を保持できるよう、植替えを行うことは大切です。

鉢のサイズを変えない植替えを行う場合は、植替え前に枝を半分程度まで落としておきます。そして、根鉢の1/3程度の土を取り除き、その分、新しい用土を足して植替えます。

本来、根鉢はあまり崩さない方が良いですが、鉢を変えない場合はやむを得ないため、根鉢を少し崩しながら作業します。根鉢を崩す分、アボカドに必要以上の負担をかけないよう、できるだけ慎重に植替えを終えましょう。

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露地栽培

暖地であれば、種を露地植えして栽培することも可能ですが、植えつけ後2~3年の幼木のうちは鉢で育て、その後、成木になってからは露地栽培に切り替えることもできます。寒い地域では冬を乗り越えられないことも多いですが、関東以南であれば、露地栽培が可能な場合もあります。

先にも述べましたが、成木のアボカドの場合、氷点下5℃程度までなら耐えられることもあるため、アボカドは熱帯果樹としては耐寒性が高いとも言えるでしょう。したがって、庭木として大きく育てたい場合や、室内での管理が難しくなった場合、できるだけ自然な形でアボカドを生長させたい場合などは、露地栽培を検討するのも素敵です。

露地栽培を行う場合は、日当たりが良く、冬季には北風が当たりにくい場所を選ぶことが大切です。さらに、水はけが良い土に、腐葉土や堆肥を混ぜ込んでから植えつけると良いでしょう。一度植えると容易には動かせないのが露地栽培と鉢植えとの大きな違いであるため、定植位置選びは慎重に行います。

また、露地植えをする前にも、鉢の段階で屋外で管理するようにして、事前に外の環境に慣らしておくことも必要です。露地への植えつけは5~6月頃の暖かい時期に行い、本格的な暑さや寒さを迎える前に、株がある程度外気に慣れる時間を設けることが求められます。

そのため、露地への植えつけは暖かくなってから行うのが大切ですが、一方で、あまり遅くならないようにしましょう。加えて、厳しい寒さに備え、冬場は防寒対策を施すと、無事越冬できる可能性が高まります。具体的には、寒冷紗や不織布などを巻きつけたり、覆ったりして寒風を防ぎ、株元には落ち葉や藁、マルチング材などを敷いて、霜対策を施します。

加えて、根づくまでは毎日水やりを行いますが、一度根づいてしまえば、基本的に水やりは不要です。

以上のように、アボカドは環境によっては露地栽培が可能です。ただ、越冬ができず、枯れてしまう可能性もあるため、失敗してもあまりがっかりせず、ゆとりのある楽な気持ちで行うことも必要でしょう。

<管理環境>
○日当たりの良い場所で管理する。

○光の方向へ茎が曲がることもあるため、時々鉢を回転させて、光の当たり方を均等にする。
○生育温度は15~33℃。
○屋外管理の場合、冬季、5~10℃程度になったら、室内に取り込む。
○成木であれば-5℃程度まで耐えることもある。

<日常のお世話>
○水は表土が乾いたら与える。
○特に生育期の水切れに注意する。
○葉が垂れ始めたら水を欲しているサイン。
○肥料は春、秋に緩効性の三要素等量の置き肥を与えても良い。

<作業>
○幼木、
成木を問わず、適宜支柱を立てて育てる。
○幼木のうちは摘芯と切り詰める剪定を繰り返し、側枝を豊富にする。
○成木になってからは、風通しや日当たりを確保するために、枝を間引く剪定を行う。
○1~2年に1回、1~2回り程度大きな鉢に植替える。(同じ大きさの鉢にも植替え可能)
○植替えの際は、根を傷つけないよう丁寧に作業し、原則、根鉢は崩さない。

<露地栽培>
○暖地を中心に、環境によっては露地栽培が可能。
○日当たりの良く、冬場に寒風が当たらない場所に植える。
○越冬できる確率を上げるために、防寒対策を施す。

古い葉は落ちても大丈夫

アボカドを育てていると、時々、床に葉が落ちていることがあります。アボカドの葉は大きく、落ちるときもほとんどそのままの大きさで葉柄から落ちるため、初めて見たときは心配になるかもしれません。また、その落葉の瞬間に同じ空間にいれば、かさっと葉が落ちた音が聞こえることもあるほどです。

ただ、結論から言えば、アボカドの下葉が落ちるのは、一種の新陳代謝のようなものであることが多く、その場合は特に心配いりません。新芽を出し、古い葉を落とすことは、植物の自然現象だと言えます。丁度、人の髪の毛や皮膚が周期的に入れ替わるような印象でしょうか。

そうした、新陳代謝として落葉する場合は、緑色の健全な葉が突然落ちるわけではなく、徐々に黄化し、枯れて、葉のみずみずしさがなくなり、乾いた状態になってから落ちることが一般的です。このような見た目になった葉は、落葉を待たなくても、少し手で触れたり、軽く引っ張るだけで、葉柄からぽろっと取れることもあります。

したがって、下葉が時々落ちることは、心配する必要はありません。アボカドは生長するにつれて下から葉が落ち、主に上部にボリュームが出ることも多い植物であるため、たまに下葉が枯れて落ちる程度なら問題ないでしょう。

一方で、一度にたくさんの葉が黄化したり枯れたりする場合は注意が必要です。その場合は日照条件や水やりをはじめとする管理の仕方を改めて見直すことも大切です。

さらに、新芽が枯れるような場合は、根に問題が生じている可能性もあります。そうしたときは、水やり間隔を改めるなどして様子を見つつ、改善の兆しが見られなければ植替えを検討する必要があると言えます。

○下葉が黄化し、枯れて落ちるのは、新陳代謝である場合が多いため心配いらない。
○一度に多くの葉が黄化し枯れる場合には、管理環境を見直す。
○新芽が枯れる場合、根に問題がある場合も。

アボカドのある暮らし

アボカドは、すくすくと生長する姿と、大きく立派な葉が素晴らしい植物です。迫力のある姿だけではなく、新芽には美しいみずみずしさもあります。加えて、丈夫な性質で、熱帯地域が原産の植物としては、比較的耐寒性もあるため、誰にでも育てやすく、それぞれの暮らしの空間に馴染んでくれる植物です。

水をたくさん求めて、大きく生長する姿は、ご飯をもりもり食べて生長する子供のようでもあり、何とも愛らしいものです。一方で、鉢のサイズを一定にしたり、剪定を行ったりすることで、それほど大きくせず、空間に合わせたサイズで育てることもできます。

また、暮らしに観葉植物を招き入れることは、日々の彩りやみずみずしさを補うような側面もありますが、アボカドはそうした役割はもちろん、さらには、アイキャッチとしてのインテリア的な要素も担う、頼れる観葉植物です。

アボカドのダイナミックな姿は、照明にも映えます。ゆったりとした夜の団欒の時間などに、アボカドの葉が作り出す豊かな陰影が、壁や床、カーテンなどに映る様は非常に美しいものです。そうしたアボカドの鷹揚な姿は、きっと暮らしにゆとりを運んでくれるでしょう。

まとめ:一から立派に育つ観葉植物「アボカド」

アボカドは、調理の際に出た種を育てることで、比較的簡単に発芽し、育てることができます。そして、その後は、すくすくと生長して、暮らしの空間のシンボリックな存在になるほど、迫力のある姿に育てることができます。

アボカドは、幼木のうちは暖かく育てることが求められますが、成木になればある程度の耐寒性もあるため、戸外で越冬できることさえあります。また、迫力のある姿が印象的なアボカドですが、鉢を大きくしないで植替えたり、剪定を行ったりすることで、それほど大きくしないで育てることも可能です。

また、日の光と水をたっぷりと浴びて丈夫に育つアボカドは、ある程度生長すれば花を楽しめることもあります。美味しいだけでなく、丈夫で育てやすく、鑑賞価値も十分にあり、何よりも育て甲斐のあるアボカドを、是非皆さんの暮らしにも取り入れてみてはいかがでしょうか。