【白湯(さゆ)】5つの効能と美味しさ~飲み方・ポイント~

朝、目覚めて、一日の初めに何を口にするかを意識したことはあるでしょうか。習慣として、決まって口にするものがあるという人も、その日によって口にするものが違うという人もいるかもしれません。

そのどちらであっても、いきなり食べ物を食べるというよりは、水やお茶、コーヒーなどの飲み物を摂る人が多いのではないでしょうか。寝ている間に渇いた喉を潤したり、失った体の水分を補給したりするためにも、朝の水分補給は大切です。

そこで、朝、口にする飲み物の候補に、「白湯(さゆ)」を加えてみるのはいかがでしょうか。
白湯は、朝はもちろんですが、一日を通して日常的に生活に取り入れることができる体に嬉しい飲み物ですので、きっと魅力的な選択肢の一つになるでしょう。

白湯とは

白湯は「さゆ」と読むほか、「しらゆ」と呼ばれることもあります。そのどちらであっても、水を沸騰させ、塩素などの不純物を取り除いた無色透明の熱いお湯を指すことに違いはありません。

白湯と似たものに、湯冷ましが挙げられますが、湯冷ましは白湯を飲みやすい温度まで冷ましたものを言うのが一般的です。白湯や湯冷ましを定義する厳密な温度の基準はありませんが、白湯が沸かしたての熱いお湯であるのに対して、湯冷ましは口にしても熱くない温度のものだと言えるでしょう。

白湯は水を一定時間沸騰させるため、水に含まれる不純物を除去、または減少させることができます。白湯は日本でも古くから親しまれてきたものですが、インドやスリランカ、中国、欧州などにおいても健康に良い効果があると考えられています。

○白湯は何も加えていない水を沸騰させただけのもの。
○白湯=さゆ=しらゆ≒湯冷まし
○白湯は日本の他、世界各地で親しまれている。

白湯の効能

体に嬉しい効果が期待できる白湯ですが、一体どのような効果があるのでしょうか。白湯の具体的な効能を、5つに分けて紹介します。

1.血行促進

白湯を飲むことで、体が温まり、動脈や毛細血管といった太い血管、細い血管をともに広げる効果が期待できます。血管が広がることで、血液の流れが良くなり、結果として血行促進の好効果が得られるでしょう。

血行促進などの体温をつくりやすい体内環境は、基礎代謝を高めることにもつながります。基礎代謝を高めることで、効率良く体のエネルギーを消費しやすくなるため、太りにくい体づくりにも有効です。

加えて、血流の低下や基礎代謝の低下は、水分の代謝も低下させ、顔や体のむくみの原因にもなりかねません。したがって、白湯によって血流や基礎代謝を高めることで、むくみの予防や改善の効果も期待できます。

2.胃腸の働きを活発にする

白湯は冷えてしまった胃腸を効率良く温めることができるため、胃腸の働きを改善する効果もあります。胃腸が白湯によって温まると、消化活動が活発になるため、消化不良などの不調改善にも役立つでしょう。

また、白湯は、何も加えられていない沸かしただけの水であるため、胃腸が栄養を吸収するために働く必要がありません。したがって、胃腸に負担をかけずに、効果的に胃腸を温め、さらに消化活動を促せるのが白湯の優れた点です。

加えて、胃腸の活動は、体の基礎代謝との関係が深いため、胃腸を健康に保つことは基礎代謝の向上にも効果的です。こうしたことから、血行促進と胃腸の働きのどちらの面からも、白湯は基礎代謝の向上に有効だと言えます。

3.便通促進(便秘解消)

胃腸の運動を活発にすることと関連しますが、白湯が胃腸を温め、大腸の動きを活発にすることで、便通を促進する効果が期待できます。特に、夜、眠っている間に渇いた胃腸に、温かい水分を摂り入れることで内蔵の働きを刺激することができます。

内臓を程良く刺激することで、便通に不可欠な大腸のぜん動運動を促進することが可能です。内臓を温め、同時に優しく刺激を与え、大腸の働きを活発にするために、白湯は適当だと言えます。

腸の働きが活発になる温度は、おおよそ37.2度だとされています。白湯を飲むことで直接内臓を温められるため、効率良く腸を温めることができるのも白湯の魅力です。腸を温めることは、便通に良い影響をもたらすでしょう。

4.冷え性の改善

白湯を飲むことで、内臓の温度といった体の内側の温度を指す深部体温や、体が最低限の活動しかしていない睡眠中などの体温を指す、基礎体温を高められることが期待できます。

白湯によって全身の血流が良くなり、体の内側から温まったり、体の活動が活発でないときの体温を適切に保ったりすることで、冷え性の改善に役立ちます。

冷え性というと冬のイメージが強いかもしれませんが、夏などの、冷たい飲み物や冷房など、体を冷やす環境が冷え性を悪化させることも一般的です。したがって、一年を通して白湯を摂ることで、冷え性の改善が図れるでしょう。

加えて、深部体温が1度上がることで、基礎代謝は10~12%上がると言われています。基礎代謝を高めることは冷え性の改善にもつながるため、深部体温を効率良く上げられる白湯が冷え性に対しても有効であることがわかるのではないでしょうか。

5.肌トラブルの改善

白湯が体を温め、血行を促進する効果があることはすでにお伝えしましたが、白湯には血液と同時にリンパの流れを改善する効果も期待できます。血液やリンパの流れの促進は、体の老廃物の排出にも効果的です。

老廃物が体から排出される、いわゆるデトックス効果は、代謝によって肌が生まれ変わる肌のターンオーバーを整えると言われています。

肌を健康に保つためには、肌の適切なターンオーバーが大切であるため、ターンオーバーを正常化する効果が期待できる白湯は、あらゆる肌トラブルの改善にも有効でしょう。

加えて、肌の状態や肌のターンオーバーは、大腸の状態の影響を受けやすいため、便秘などで大腸が不調だと、肌にも悪影響が及びます。白湯は、便秘解消にも有効であるため、そうした点からも、肌の調子を改善する効果が期待できるのです。

○「巡り」の効能
・血行促進
・基礎代謝の向上
・むくみの改善
・リンパの流れの促進
・冷え性の改善
○「内臓」の効能
・内臓を温める(深部体温の上昇)
・胃腸の働きを活発にする
・便通の促進
○「肌」の効能
・デトックス効果
・肌のターンオーバー正常化

白湯の美味しさ

白湯に馴染みがない人のなかには、水をただ湧かしただけのものをそのまま飲むことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。そういう人にとっては、いくら健康に良いと言われも、白湯を日常的に飲むのは難しいのではないでしょうか。

そうした人にお伝えしたいのが、白湯の味わいの魅力です。ただ健康の維持に役立つ効果が得られるだけではなく、「白湯は美味しい」と聞いたら、少しは習慣化しやすいのではないでしょうか。

白湯の味わいは、「ほんのりとした甘さが感じられる」、「口当たりが柔らかい」などと表現されることが多く、思いのほか美味しいと感じる人が多いのです。

加えて、普段は美味しいと感じられる白湯が、違った味わいに思える日もあります。そうした場合、その味わいの変化は、体調が優れないことの表れかもしれません。体調によって、白湯の味わいは変化することも少なくありません。

このように、体調のバロメーターとしても活用できるのが、白湯の味わいの特徴です。白湯が美味しいと感じられるときは、比較的体調が整っていると考えられるでしょう。

○白湯は美味しい。
○「ほのかな甘味」と「口当たりの柔らかさ」が特徴。
○白湯の味わいは、体調の変化を知る目安にも活用できる。

飲むタイミングと温度

体に良い影響をもたらし、そして味わい深い白湯。そんな白湯を効果的に取り入れるため、飲むのに適した特におすすめのタイミングは「朝」です。

起床後、最初に口にするものを白湯にすることで、白湯の好効果が十分に得られると言えます。渇きを感じる体にゆっくりと白湯を浸み込ませるように飲むと、お腹を中心に白湯が体中を巡り、熱が広がっていくような感覚が得られます。

白湯の適温は、すすりながら少しづつ飲むことができる程度です。あまり熱すぎると体に負担がかかってしまうため、感覚がつかめない場合や最初のうちは、人肌よりも少し熱い程度から50度ほどの間を目安にすると良いでしょう。

特に朝に飲む白湯は、一息に飲むのではなく、10分ほど時間をかけながらゆっくりと飲むのが効果的です。少しづつすする白湯が喉を落ち、体の内側を温める度にお腹が動き始めるような感覚が生じます。

白湯を飲むたびに、「ぐう」といったり「こぽこぽ」といったりするお腹の音が聞こえると、内臓が動き出した感じや、一日の準備を体が整えている感触が実感できます。

早いとこの段階で、一杯の白湯を飲み終える前に、便意を催すことも少なくありません。もちろん朝食前のことですので、その後の食欲や気持ちの余裕にも、朝の便通は影響を与えると言えます。

ゆっくりと白湯を飲むことで体を目覚めさせ、準備を整えることで、体温が上がりやすくなり、食事の消化を高め、栄養の吸収の効率を高めることにもつながります。

また、白湯を飲むタイミングとして朝をおすすめするのは、朝を逃してほしくないという意味であり、朝以外は飲むべきではないという意味ではありません。したがって、一日を通して常飲する飲み物を白湯にすることも効果的です。

冷たいものや刺激のあるものばかりを飲まず、食事の際や日常の水分補給に白湯を摂ることは、体に優しい習慣だと言えます。

一方で、いくら体に良いと言っても、飲み過ぎは良くありません。成人が一日に飲み物から摂取するべき水分量は約1.2リットルです。したがって、白湯以外の飲み物を飲まない場合は、1.2リットルを目安に白湯を飲むのが良いでしょう。

白湯以外の飲み物を摂取した場合には、その分、白湯の量を調整する必要があります。水分の摂りすぎも、体には良くないので注意が必要です。

○白湯は「朝」飲むのが特に効果的。
○白湯は一日を通して常飲できる。
○白湯はすすって飲める程度に冷ます。
○ゆっくりと飲む。
○飲み過ぎには注意(1リットル前後が目安)。

白湯の作り方

白湯は単に水を沸かすだけで作ることができるので、準備はそれほど面倒でも難しくもありません。ただ、白湯の作り方には1つだけポイントがあります。それは沸騰してから10分ほどは沸かし続けることです。

そうすることで水に含まれる不純物を除去したり、減少させたりして、より体に優しい白湯を作ることができます。沸かす水は水道水でも良いですが、浄水器を通した水の方が、雑味が減り、美味しい白湯が作れるのでおすすめです。

やかんや鍋で水を沸かす場合は、沸騰するまでは蓋を閉めて、沸いたら蓋を開け、10分間沸かし続けます。沸かしている間に水量が減るため、最初から多めに沸かしておくとたっぷりと白湯を用意することができます。

10分沸かし終え、適温まで冷ませば、美味しい白湯のできあがりです。加えて、手軽に白湯を作る方法として、電子レンジで温めたり、ウォーターサーバーのお湯を活用する方法もあります。

水を火で沸かし、一定時間沸騰させ続けることが望ましいですが、大切なのは白湯を負担なく日々に取り入れ、体の健康を維持することです。したがって、それぞれの暮らしに合った無理のない方法を選択しましょう。

○白湯を作る簡単3ステップ

①やかんや鍋に水を入れ、蓋をして火にかける。
②沸騰したら蓋を取り、さらに10分沸かし続ける。
③適温に冷ます。

揃えると便利な道具

白湯をさらに美味しく手軽に取り入れるために、あると便利な道具を2つ紹介します。

保温ポット(魔法瓶)

白湯は一度沸かした後、冷めてしまったからといって、再び沸かし直すべきではないとされています。これは、何度も沸かすことで白湯のバランスが崩れてしまうという考え方があるからです。

そこで、一度にたっぷりと白湯を作り、魔法瓶などで保温しておくのが手軽で便利な方法です。白湯のバランスをそれほど重視しないという人にとっても、飲む度にお湯を沸かすのは手間ではないでしょうか。

したがって、何度もお湯を沸かす手間が省け、飲みたいときにすぐに飲める魔法瓶は、暮らしに白湯を取り入れる際、とても便利です。

鉄瓶

白湯を鉄瓶で作ることで、白湯の味わいが一層豊かになります。特に口当たりが丸く滑らかになり、柔らかい印象が高まるのが特徴です。また、鉄瓶で沸かす白湯には鉄分が溶け出すため、鉄分摂取にも役立ちます。

この鉄瓶に含まれる鉄の成分は、水に含まれる塩素の分解や除去にも役立つため、水の臭いや雑味を減らし、結果として白湯の味わいをより良くする効果があります。つまり、鉄瓶で沸かした白湯は美味しいのです。

加えて、鉄瓶は硬水を軟水化する作用もあります。鉄瓶で硬水を沸かすと、硬水に多く含まれるミネラルが鉄瓶に吸着するため、水が軟水化するのです。白湯には軟水が適しているため、水をより柔らかくする鉄瓶は白湯作りに重宝します。

○白湯作りで便利な道具

魔法瓶 : 白湯を一度に作り置きできる。飲みたいときに沸かす必要がなく、すぐに飲める。

鉄瓶 : 白湯をさらに美味しくしてくれる。水を柔らかくしてくれる。

体と心を温める

体に好効果が期待でき、そして美味しい白湯は、暮らしにゆとりをもたらします。朝、白湯によって体に水分と熱が浸みわたっていく感覚は何とも言えず心地良いものです。

朝から心地良い便通があり、食欲も湧き、体がポカポカとするのは白湯の優しい効果です。ふうふうと冷ましながら白湯をすする時間は、忙しない日常に束の間のゆとりを与えてくれるでしょう。

なかにはゆっくりと時間をかけて白湯を飲む時間がとれないという人もいるはずです。そういう人は白湯の効果的な飲み方に捉われすぎることなく、自分の生活に合った無理のない取り入れ方をすると良いでしょう。

冷たいものや刺激のあるものを多く摂りがちな人ほど、白湯の効果を実感できると言えます。忙しい人でも、保温ポットを利用することで手軽に白湯を持ち運んだり、飲みたいときに飲むことができるので、そうしたものを活用することで、わずかかもしれませんが日々に余裕が生まれるのではないでしょうか。

体を温め、心にもポカポカとした湯気を立ててくれる白湯。朝の目覚めを大切にしたい人や、体の調子を見直したいと考える人にとって、白湯は手軽に摂り入れられる優れた選択肢の一つです。

まとめ:白湯がある暮らし

水を沸かしただけの何も混じっていないお湯が白湯です。白湯は、体を温め、血の巡りを良くしたり内臓の働きを活発にしたりする効果が期待できます。体に嬉しい様々な効果をもたらしてくれる白湯は、その美味しさも魅力の一つです。

白湯は熱すぎない温度に冷まし、時間をかけて飲むのが効果的で、特に朝に摂ると効果を実感しやすいでしょう。加えて、保温ポットや鉄瓶を活用することで、白湯は暮らしにより手軽に取り入れられ、日々に彩りとゆとりを与えてくれます。