【コーヒー】魅力と効能~美味しさのための「豆・焙煎」の種類~

背中に手を添え、身体の深いところから息を吐かせてくれるような、そんな優しさがコーヒーにはあります。コーヒーを飲むことと深呼吸をすることは、どこか似ていると感じたことのある人も多いのではないでしょうか。

コーヒーは、ソファーに沈み込むように座ったときの、包み込まれるような感覚をもたらしてくれる飲み物だともいえます。日々にゆとりを与えてくれる、豊かで味わい深いコーヒーだからこそ、自分に合った味を見つけることで、より一層コーヒーを楽しむことができるでしょう。

コーヒーの魅力とともに、自分好みのコーヒーを見つけるために役立つ、コーヒー豆の焙煎深度による味わいの違いを紹介します。

コーヒーの効能

コーヒーは、健康的な効能が幅広く期待できる飲み物であり、そうした効果を生んでいるのがコーヒーに豊富に含まれるカフェインとポリフェノールという成分です。

カフェイン 

カフェインには、眠気を軽減して集中力を高めたり、頭をすっきりとさせたりする効果があります。さらに、疲労感を軽くする作用もカフェインに期待できる好効果のひとつです。

その他にも、利尿作用によるデトックス効果や、血管の拡張作用、収縮作用による偏頭痛の軽減、血行の促進など、様々な効能が期待できます。加えて、呼吸器機能の改善や心臓機能の強化、運動機能の向上といった効果もカフェインには期待できると言われています。

こうした作用を持つカフェインが豊富に含まれていることが、コーヒーが気分転換や休憩時の飲み物として重宝される理由ではないでしょうか。

ポリフェノール

赤ワインに多く含まれていることで知られているポリフェノールですが、実はポリフェノールはコーヒーにも豊富に含まれています。ポリフェノールには高い抗酸化作用があるため、大腸がんや肝臓がんといった一部のがんの予防に効果があると言われています。

また、ポリフェノールのなかでもコーヒーに多く含まれるクロロゲン酸は、血液をサラサラにする作用があるため、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化、生活習慣病の予防にも役立つのです。

加えて、ポリフェノールには、紫外線から肌を守る効果も期待できるため、肌のシミ対策にも有効です。こうした健康の維持に役立つポリフェノールの効果は、コーヒーを飲んですぐに得られるわけではありません。

一方で、日々、何気なく飲むコーヒーにこういった嬉しい効果があると知るだけでも、気分が少々和らぐと言えるのではないでしょうか。

リラックス効果

目が冴えたり、頭がすっきりしたりと、コーヒーの興奮作用が注目されることが多いですが、実はコーヒーには同時にリラックス効果も得られるという特徴があります。

特に、コーヒーの香りには高いリッラクス効果があると言われています。また、コーヒーの独特な苦味や酸味にもリラックス効果が期待できるため、香りと味わいをともに楽しみながら、深い安らぎを得られることもコーヒーの効能でしょう。

○カフェイン : 覚醒効果、利尿作用、血行促進などの効果が期待できる。
○ポリフェノール : コーヒーに含まれるポリフェノールは主にクロロゲン酸。高い抗酸化作用により、一部のがんへの予防効果が期待できる。血液をサラサラにする作用があり、生活習慣病の予防に役立つ。
○コーヒーの香りや苦味、酸味にはリラックス効果が期待できる。

※上記のようなコーヒーの効能は、適量を適切に摂取した際の効果です。
過剰に摂取しても、より高い効果が得られるわけではありません。
 コーヒーを飲みすぎてしまうと、かえって健康を害する恐れもあるので注意が必要です。
 したがって、本記事は、コーヒーの大量摂取をお薦めするものではありません。

コーヒーの魅力

健康的な効能が期待できるコーヒーですが、日々の暮らしにコーヒーを取り入れる魅力はそれだけにはとどまりません。コーヒーは、様々な場面にゆとりや安らぎをもたらし、豊かな時間をもたらしてくれると言えます。

淹れる楽しみ

それぞれの暮らしに合わせた、多様なスタイルがあることもコーヒーの魅力のひとつです。時間をかけてコーヒーを淹れたり、手軽にコーヒーを楽しんだりと、コーヒーはそれぞれに合った形で寄り添ってくれるでしょう。

コーヒーの淹れ方は、ハンドドリップやフレンチプレス、エアロプレス、サイフォン、全自動コーヒーマシンなど様々です。気分や暮らしに合わせて淹れ方を選べることも、ゆとりある自分の時間を持つためにコーヒーが役立つ理由です。

コーヒーは抽出する時間に没頭することもできますし、淹れたてのコーヒーそのものを存分に楽しむこともできます。コーヒーに触れていると、時間の流れがゆったりとするような感覚を得られることもコーヒーの魅力でしょう。

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味わう喜び 

一般的に苦い飲み物という印象が強いコーヒーですが、その味わいは非常に豊かで、奥行きがあります。もちろん苦味も大切な要素ですが、それだけではなく、コーヒーには甘味や酸味、果実味、厚みなど、様々な要素が含まれています。

どういった味わいをコーヒーに求めるかは、それぞれの好みによって大きく異なるでしょう。まだ好みの味わいが見つかっていないという場合は、幅広いコーヒーを楽しみながら自分に合った味わいを見つけることもコーヒーのひとつの楽しみ方です。

コーヒーの味わいを構成する要素を解きほぐし、それぞれを楽しみながら、しかし最後にはすべての交わりを十分に堪能できるのが、コーヒーが織りなす味わいの魅力です。

コーヒーの味わいのどの要素を自分は好むのか、それぞれのバランスがどれくらいだと丁度良く感じるのかなど、そうした観点でコーヒーを味わうのも面白いでしょう。

味わいに奥行のあるコーヒーはそのままでも美味しいですが、様々な時間や場面と合わせることで、その魅力がより発揮される飲み物だとも言えます。

朝に味わうコーヒー、お昼に味わうコーヒー、お茶の時間に味わうコーヒー、夕食後に味わうコーヒー、その他、家事や仕事の合間に飲むコーヒーも、それぞれが違った趣きで寄り添ってくれるのもコーヒーの素晴らしさです。

洋菓子だけではなく、あんこをはじめとする和菓子にもコーヒーは良く合います。また、食後にコーヒーを飲むことで、お腹の具合をゆったりと落ち着けてくれる感覚が好きだという人も少なくないでしょう。このようにコーヒーには幅広い場面で味わえる魅力があるのです。

コーヒー豆の焙煎と味わい 

コーヒー豆を選ぶ際は、どういった銘柄や産地、品種を選ぶべきなのか、また、複数の種類の豆で構成されているブレンドが良いのか、単一の豆だけのシングルオリジンが良いのかなど、悩んでしまうことも多いかもしれません。

どれを選んでも決して間違いではありませんが、できれば自分の好みに合うものを選びたいものです。そうした場合は、まず大まかに、豆の焙煎の深度を目安に選ぶという方法があります。

豆を煎る度合いのそれぞれの特徴を知ることで、前もって味わいが想像しやすいため、焙煎具合を参考に豆を選ぶことは、比較的失敗のない選び方だと言えます。

惹かれる煎り加減が見つかったら、同じ煎り加減の豆を飲み比べてみたり、異なる煎り加減でも、比較的好みのものと近い焙煎深度のものを選んでみたりすることで、自分のコーヒーの世界を広げていくことができるでしょう。

そこから豆の銘柄や産地、品種、ブレンド方法、さらには豆の挽き具合や淹れ方による味わいの違いなどを探求し、自分自身の一杯を見つけることも、コーヒーとの素晴らしい関わり方です。

コーヒー豆の焙煎の種類には、浅煎り、中煎り、深煎りの3つがあります。そしてそれぞれの焙煎度合いは、さらに細分化され、様々な味わいを表現しています。

豆の種類に適した焙煎度合いを知らなくても、コーヒー店がそれぞれの豆に合った焙煎をしていることが一般的であるため、必要以上に悩む心配はなく、安心してコーヒー豆を選ぶことができるでしょう。

浅煎り 

焙煎時間が短く、豊かな酸味が楽しめるのが浅煎りの特徴です。また、苦味が比較的少ないことも、浅煎りならではでしょう。浅煎りは、ライトローストとシナモンローストに分けられます。

ライトロースト

焙煎深度が最も浅いものがライトローストです。焙煎時間が短いため、苦味が少なく、コーヒー特有の香りはあまりありませんが、豆本来の風味を楽しめるのが特徴です。

ただ、豆の青臭さが強く、取り扱うコーヒー店も少ないため、店頭で見かけることはほとんどない特殊な焙煎深度です。主に豆を輸出する際などの品質検査に用いられる焙煎深度であり、そうしたことからもライトローストが豆本来の味や香りを確かめられる焙煎深度だとわかります。

シナモンロースト 

シナモンのような色合いに焙煎された豆がシナモンローストです。ライトローストよりは色づいていますが、焙煎前の生豆がほのかに感じられることもあります。柑橘系の果実味が味わえることが多いのもシナモンローストの特徴です。

豆が本来持つ渋みが、焙煎によって酸味に変化してくるあたりの焙煎深度がシナモンローストです。苦味がほとんどなく、すっきりとした酸味があり、口当たりが良いコーヒーが味わえます。

中煎り

浅煎りと深煎りの中間の焙煎深度が中煎りです。浅煎りの酸味と深煎りの苦味のどちらの要素も持ち合わせています。また、甘味を感じやすいのも中煎りの特徴です。中煎りはミディアムローストとハイローストに分けられます。

ミディアムロースト

中煎りに分類されますが、豆によっては浅煎りのような風味を感じられることもあります。ミディアムローストの豆はミルクチョコレートのような薄い茶色が特徴です。

ミディアムローストはアメリカンローストとも呼ばれ、アメリカンコーヒーを淹れるのに適した焙煎深度だと言われています。中煎りではありますが、焙煎深度は比較的浅いため、酸味が強い味わいがミディアムローストにはあります。

ただ、酸味と同時にコーヒーらしい苦味が感じられるようになるのもミディアムローストの特徴です。加えてほのかに漂う甘味も、ミディアムローストの魅力でしょう。

ハイロースト

深煎りの少し手前の焙煎深度で、バランスがとれた一般的な煎り具合です。豆が茶色く色づき、しっとりと艶やかなのが特徴です。

口当たりが柔らかく、好みが分かれにくい味わいで、幅広い人に受け入れられるでしょう。喫茶店などで飲むことの多い味わいだとも言えます。

深煎り 

焙煎時間が長く、深い苦味と厚みのある味わいを特徴とするのが深煎りです。焙煎深度によっては、酸味よりも微かな甘味が楽しめることもあります。

深煎りは、浅煎りと中煎りよりも細分化された焙煎度合いの種類が多く、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストの4つに分けられます。

コーヒー店によっては、フレンチローストとイタリアンローストを極深煎りという位置づけにする場合もあります。

シティロースト

酸味が少なく、苦味も深煎りのなかでは抑えられているのがシティローストの特徴です。

ハイローストと同様に、幅広い人に好まれるバランスの良い味わいですが、比較的酸味が残るハイローストよりも、苦味やコクに傾いた風味を楽しめるという違いがあります。豆は光沢のある茶色で、エスプレッソにも使われることの多い焙煎深度です。

フルシティロースト

厚みのある力強い味わいを楽しめるのがフルシティローストです。豆の油分が焙煎により滲み出るため、光沢のある茶色をしています。

シティローストと同様に、エスプレッソに使われることも多く、また、アイスコーヒーで使用されることもあります。豊かな苦味を楽しみたい人に好まれる味わいだとも言えるでしょう。

フレンチロースト

焙煎深度が深まるフレンチロースト以降は、極深煎りと呼ばれることもあります。豆の表面には油分が多く滲み出て、光沢のある焦げ茶色になります。独特の香りや苦味を味わえるのがフレンチローストの特徴です。

味わいに力強い厚みがあるため、アイスコーヒーの他、ウィンナーコーヒーなどのアレンジコーヒーに使用されることも多い焙煎深度です。

イタリアンロースト

最も焙煎深度が深い豆がイタリアンローストです。炭のような黒色に近い深い茶色の表情が特徴です。奥行きのある力強い苦味と、深煎りならではの独特な香りを楽しむことができます。

厚みのある濃厚な味わいは、ブラックはもちろん、エスプレッソやカプチーノ、カフェラテ、アイスコーヒーとの相性も良いでしょう。

○コーヒー豆の焙煎深度には、浅煎り、中煎り、深煎りがある。
○焙煎深度が浅いほど酸味が強く、苦味が弱い。反対に、焙煎深度が深いほど苦味が強く酸味が弱い。

○浅煎り : ①ライトロースト、②シナモンロースト
○中煎り : ③ミディアムロースト、④ハイロースト
○深煎り : ⑤シティロースト、⑥フルシティロースト、⑦フレンチロースト、⑧イタリアンロースト
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コーヒーがある時間

一息つきたいとき、そんな時間のお供にコーヒーがあれば、ふくよかな心地良さが深呼吸するように口のなかからお腹のなかまで広がります。大切な1人の時間や、家族との団らんの時間などにも落ち着きのある味わいのコーヒーは最適です。

また、普段であれば紅茶や緑茶、ほうじ茶とともに食べるようなお菓子も、時々はコーヒーとともに味わうと、違ったおいしさを見つけられる嬉しい驚きに出会えるかもしれません。

ブラックコーヒーの味わいも素晴らしいですが、気分に応じてミルクと砂糖を入れてコックリとした優しい味わいを楽しむのも、気持ちが丸くなり、心も温かく満たされるでしょう。

加えて、ドリッパーやサーバー、やかん、コーヒーミルなどといったコーヒーを淹れるための器具や、コーヒーカップ、お菓子を載せるお皿などのコーヒー関連の品々にお気に入りを見つけ、愛着を持って使い続けることも、コーヒーを通して暮らしにゆとりを運ぶきっかけとなるのではないでしょうか。

まとめ:コーヒーでほっと一息

コーヒーは様々な気持ち、時間、場面に寄り添ってくれる飲み物です。コーヒーには健康的な効能が多くあり、様々な病気の予防が期待できます。また、リラックス効果があることもコーヒーの特徴です。

コーヒーを暮らしに取り入れる際、自分の好みに合った味わいのコーヒーを見つけるために、コーヒー豆の焙煎の種類を知ることも効果的です。浅煎り、中煎り、深煎りといった焙煎深度の違いで、コーヒーの味わいは異なります。

そうした特徴を知ると、コーヒーを淹れる時間の楽しみや、味わう時間の喜びが、さらに魅力的な時間になるでしょう。コーヒーの湯気や香り、味わいが、きっと日常にゆとりを与えてくれます。